結局、あの黄金櫃は遊戯がじーちゃんから勝ち取った。遊戯は凄く喜んでた。マジ可愛い。遊戯マジ僕の天使。
そんな遊戯だが、早速子供部屋に閉じこもり、貰った黄金櫃の中をひっくり返していた。ご飯だよってママが呼びに来ても、ずっとそれに夢中で聞いちゃいない。
遊戯王は、好きなアニメだからずっと見てた。だから、アレが一体何なのか。遊戯がこの先どうなるのか、僕は全てを知っている。王様凄くかっこよかった。うん。…って、それは、今はいいんだよ。
今日の夕飯は、ハンバーグだ。遊戯の好物の一つだけど、それすらも気にならないくらいあの子はあのパズルに熱中してる。可愛らしいプラスチックの茶碗に盛られた白米を口へ運びながら、僕はちらりと台所の天井を見上げた。
僕に出来ること、それは――――
「じーちゃん」
「なんじゃ?」
「お願いがあるんだけど」
「うん?どうした、いってみい」
この世界が、漫画原作とアニメ、どちらに沿っているのかは分からない。
もしかしたら、『僕』という異分子が存在していることで、すでにゆがみ始めているのかもしれない。
この先、約10年後の未来。
大いなる闘いに身を投じることになるであろう遊戯に、僕がしてあげられることは――――初めてあの黄金櫃を見たあの日、今まで目を逸らし続けてきた予想が確信に変わってしまったあの瞬間から、ずっと考えてきた。
そして、出した答え。僕は茶碗と箸を置き、向かい側に座るじーちゃんを真っ直ぐに見上げてにっこりと笑った。
「デュエル、教えてくれない?」
僕は出来る限りの力を持って、君を守ろう。
物語が始まるまでに、それだけの力を得よう。
君が正しい道に、歩いていけるように。
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