くらくら、ふらふら。


静かな廊下を歩いている最中も、目眩は続く。それどころか、歩く度に酷くなってきているようにも思えた。
てかもうくらくらとか可愛いレベルじゃないよ。既にぐらぐらだよ。コレ実は地震起きてない?あ、別にそんなことなかったですね。

階段を一段一段、手摺に頼りながらゆっくりと降りていく。あー…マジでキツい。なんなのこれ。寝不足?寝不足なの?宿題終えてから寝ずにアニメ見てたのが悪かったの?いやだって王様かっこよかったんだもの。指先すごい綺麗だったんだもの。なんであのアニメあんなに指に力いれてるんだろうねホント。羨ましいことこの上無いぜ。

そんなバカなことをつらつら考えても、気分は一向に良くならない。…大人しく保健室で寝てよう。そうしよう。

漸くたどり着いた保健室の扉をガラリと開ける。…せんせーいねぇし。何故だ。



「…せんせー」



無駄ではあるが、一応呼んでみる。反応なし。マジでいないわ。

いないならいないでしょうがないか、と私はふらっとベッドの方へ向かった。上履きを脱いでベッドに上がり、綺麗に畳まれた布団を解して肩まで引っ張る。



「…っあー…………………」



なんか、漸く一息つけた気がする。
勝手にベッド使うのはちょっとアウトな気もするけど、保健室にいない先生が悪いってことで。まぁ戻ってきたら起こしてくれるだろ。うん、その時に保健室カード書けば良いよね。

私はそっと目を閉じた。







































じりじりと、太陽の熱射が肌を焼く。
踏みしめるたびにさらさらと足元から零れる砂が奏でる音を聞きながら、彼は空の青の中に奔る一筋の光を見た。



「……!」



とくり。
心臓が一度、脈を打つ。

胸が、騒ぐ。
魂が、告げる。

体に巻きつけた厚手のマントを翻し、彼は馬を走らせた。




運命は、本人の知らぬところで廻り始める。
彼が彼女を見つけるまで、後もう少し。











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