さらさらと風に流れる黒い髪。
琥珀色に透き通る宝石のような双眸。
身に纏う衣服も、黒を基調としたものに、冷たいブルーや紫色のラインが入ったものだ。
夜―――――それが、私が彼に抱いた、第一印象だった。
「えっ…と…………」
私が黙したまま何も言わないでいると、少年は困惑したように表情を曇らせた。
「君は…一体……?」
その時、私の視界の端を、白い何かがひらりと掠める。
少年から視線をはずしてそれを追うように見上げると、星空の中に小さな白い紙が舞っているのが見えた。
その紙はひらり、ひらりと風に揺られながら、橋の下へと落ちていってしまう。
「…あっ!」
「…?」
ぼんやりとそれを見送っていたら、突然少年が焦ったような声を上げた。
慌てて川を覗き込む彼に、首をかしげた。
「…どうしたの?」
「え、あ…大事な書類が落ちちゃって…」
「書類?」
さっきのあれか。
私も彼の隣に立ち、川を覗き込んだ。
水面に向かってひらひらと落ちていく白い紙。
うわ、水場かぁ…。ぬれちゃうのは避けられない、かな。
そう思った、その時。
―――ふわり
「…え?」
水面が、仄かに光を放つ。
ふわり、ふわりと、その光が線となり円を描いていく。
それも、一つではない。
まるで橋のように真っ直ぐに伸び、連なっていく光たち。
そして―――やがて現れた“それ”を見て、私は静かに目を瞠った。
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