階段を上ってみると、そこは今までとは別空間だった。
なんつーか………ファ、ファンタジィ……。つーか広っ!
「なんか…ここまで来ちゃったけど、大丈夫かな…」
「もうここまできたら腹くくろうぜジュードくん。とりあえず隠れられるとこないかなぁ」
閉所時間を過ぎた研究所の中は、人の気配もなくがらんとしていた。
しかし油断は禁物である。私とジュードくんは、とりあえず物陰に身を潜めた。
なんとなく、近くにあった部屋のプレートを見上げてみる。……うん、読めない。無理。早々に諦めた。
「ねえ、ジュードくん」
「何?」
「一応聞くけど、ハウス教授がいる部屋の場所、知ってたりとか」
「………」
「…うん、だよね。ごめんね、全然気にしなくていいから。一応聞いてみただけだから、責任感じる必要ないからしょぼんとしないでジュードくん!!」
知らないという事に罪悪感を感じたのか、しょぼんと肩を落とすジュードくん。
やめて可愛い!なんか君の頭に垂れ下がった犬耳の幻覚が見えるくらいには可愛いからやめて!理性が負けそう!
「と、とにかく、教授とあの人探してみよう?ね?」
「…うん………ごめんね」
「いやいや全然おっけー!さ、行こうか」
ニッと笑って私はジュードくんの手を引き、時折訪れる見回り兵に注意しながら、研究所の中を駆け出した。
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