∴ 01 「……………暁チトセ」 「あい」 「お前、本当に一般人か?」 ですよねー。その疑問私も思ってますツバキ教官。 フェンリル極東支部、通称アナグラに配属されて、数日。連日続いた基礎体力作りも一段落し、いよいよ今日から神機を使っての訓練を始めることとなった。 旧型のコウタとは違い、新型である私は刃型(ブレードフォーム)と銃型(ガンフォーム)、両方に神機を切り替えることができる。 その分素早い判断が必要になるし、切り替える時も手早く行わなければならないため、旧型とはまた異なった訓練内容をこなしていかなくてはならないらしい。うーん、覚えること一杯だ。 取り敢えず今日は刃型の扱いに慣れておけ、というツバキ教官の指示にしたがい、ひたすら刃型の訓練をしていた、ら。 「まさか訓練初日にしてSSS+を出されるとは思っていなかったぞ…」 「ですよねー…」 最高得点叩き出しちゃいました。あれぇ? 「…チトセ、お前ここに来る前に何かやっていたのか?」 「ひたすらアラガミからにげまわってたです」 「…うん、そういうことじゃなくてだな」 や、だってそうとしか言えないんだもの。私今まで普通に外部居住区で暮らしてたんだよ? フェンリルからの配給に並んだり、アラガミの襲撃からひたすら逃げてたり。 それが何だ、このいきなりのチートスキル。 「あっ、でもきんじょのがきんちょたちとのけんかは負けなしです!」 「…………………そうか」 ぶい!と得意気に笑ってやれば、ツバキ教官は呆れたような、何か微笑ましいものを見るかのような、何とも複雑そうな顔をした。 「…まぁ、ここまで扱えるなら刃型は大丈夫だろう。予定にはなかったが、次は銃型の訓練に入れ」 「りょか(※了解の意)ですっ!」 しゅぴっ!と形だけの敬礼をし、私はちゃっちゃか神機を銃型に切り替えると、再び現れた疑似ターゲットのなんかぎらぎらてかてかしたオウガテイルに向かっていった。 「(…あの年齢にして、この戦闘能力……………これが、『新型』の力なのか……?)」 そんな私の背中を見送り、ツバキ教官が訝しげな顔をしていたことに、私は気付くことはなかった。 ×
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