君しかいらない 黒子っち、黒子っち。 そう呼んでくる君が愛しくて仕方ないんです。 ねぇ、きせくん。 ボクはきせくんがいなくちゃ生きてけないんです。 きせくん、きせくん。 ボクとずっと、生きてください。 「黒子っち、黒子っち。聞いてくださいッス!!今日も笠松先輩にシバかれたんッスよ〜」 「それは大変でしたね…大丈夫ですか?怪我とか、してませんか?」 あぁまたか。 前にもきせくんを傷付けないでくださいって言ったのに。 次はきちんと殺っておかないと。 「黒子っちだけッスよ〜…オレを慰めてくれんの…」 「当たり前でしょう?きせくんは大切な恋人ですからね」 「黒子っちー!」 ぎゅっと抱きしめてくるきせくん。 かわいいかわいいかわいい… 「大丈夫ですよ…ボクはきせくんの味方ですから…」 ある日きせくんが慌てた様子でボクのもとへ来た 「黒子っち…笠松先輩が階段から落ちてケガしちゃったんス…!!誰かに突き飛ばされたらしくて…」 あぁ、死ななかったのか。頑丈な人ですね… 「そうなんですか?笠松さん、早く善くなるといいですね…きせくんも気をつけてくださいね?きせくんが怪我したら、ボク心配で狂いそうです。」 「黒子っち…!黒子っちはホントに優しいッスね…笠松先輩にも伝えとくッス!!オレの心配もしてくれてありがとう。やっぱりオレには黒子っちだけッスわ」 ちゅ、とおでこにキスを落とすきせくん。 あぁ、きせくんの全てがボクのものだったらいいのに… 「ボクも、きせくんだけしかいりませんよ?」 「またまた〜!黒子っちはいつも優しいんだから!!」 冗談ではないんですよ?きせくん… ボクは、きせくんさえいてくれればそれでいいんです。 だから、いらないひとは消しちゃいますね? きせくん、だってきせくんもボクだけなんでしょう? その日を境に、海常高校のバスケ部員が次々と怪我をしていった。 きせくんも、徐々に弱々しくなってきた。 誰かが怪我をするたび、ボクに甘える。 ボクを抱きしめてボクの肩に顔を埋めて話す。 かわいいきせくん… 「黒子っち黒子っち…次はオレかもしれない…怖いよ…」 「大丈夫です、きせくん。きせくんにはボクがいます…」 「ねぇ…黒子っち…落ち着くまで抱きしめてていいッスか…?」 「それ、前も言ったでしょう?いいですよ、それできせくんが大丈夫になるなら…」 「ありがとう、黒子っち…!」 うん、これでいい。 きせくん、いいですか? きせくんはボクがいなくちゃまわりが怖くて仕方ない。 きせくんはボクといるときだけ安心できる。 きせくんきせくんきせくんきせくんきせくんきせくんきせくんきせくん… 君はボクのなんですから。 そしてー… 「黒子っち、怖い…オレもう黒子っちしか信じられない。黒子っち、オレ黒子っちだけいればいい。だから黒子っちはオレの前から消えたりしないで、お願い、黒子っち、黒子っち…!」 「きせくん」 「お願い、捨てないで、ひとりにしないで」 ぎゅっときせくんがボクを抱きしめる。 そう、これだ。 ボクはこれを待ってたんです。 「きせくん…震えないで?大丈夫、きせくんの前から消えたりしませんよ…」 するり、ときせくんの背中に手を回し抱きしめる 「きせくん、ボクもきせくんだけいればそれでいいです。だってボクはきせくんがいなきゃ生きていけませんから。」 「黒子っち…!オレもだよ、黒子っちだいすき。だいすきだいすき。」 「ボクも、きせくんだいすきですよ…?だから、一生ずっと…いっしょに生きましょうね?…ボクのかわいいかわいいきせくん…」 きせくんの首に顔をうずめる。 ゆるり、口角が静かに、でも確かに黒く歪んだ。 君しかいらない。 (他のものなんて消えてしまえばいいんだ) 2013.03.05. |