家族


カタ、と机に出来た料理をのせる。
テツヤが少しでも多く食べれるよう考えて作った


(食べてくれるといいのだが…)

昔からテツヤは食が細く、放っておけば何も食べない。
昔の文献によれば“生き神”という扱いになる者は食事を必要としないという。
だがテツヤはただの生き神ではない“命命”であり、口から栄養を摂らなくては存命出来ない。

(あの子が何をしたというのだろう…)

思い耽っていると通路から話し声と足音が聞こえてきた。
テツヤと高尾が戻ってきたらしい


「飯ーっ!」
「出来てるのだよ」
「さっすが真ちゃん!」
「真兄さまありがとうございます」
「気にするな。早く食べるのだよ」
「はい」


小さく笑みを見せてくれたテツヤに少し癒されながら畳に座る。

「相変わらずテツヤの分は無駄に凝ってるなぁケチャップで猫って…真ちゃんその顔で、猫って…」
「なんだ高尾夕飯いらないのか。そうか分かった片付けよう」
「うわぁぁあ真ちゃん鬼畜!やめて!オレお腹すきすぎて死んじゃうから!」
「餓死しろ」
「ひどい奴がいる!テッちゃん〜」

性懲りもなくテツヤを抱きしめる高尾をとりあえず殴る
高尾の腕のなかのテツヤを見ればクスクスと笑っていた

「ふふ、真兄さまと和兄さまは本当に仲良しですね」
「テツヤまでなんてことを言うのだよ…」
「あ、真兄さま落ち込まないでください?ねこさんかわいいですよ、ありがとうございます」
「そう言ってもらえたら作り甲斐があるのだよ」

笑い返せばテツヤもまた微笑んだ

「二人きりの空間やめて!オレもいますー!」
「高尾うるさいのだよ。さて、冷める前に食べよう」
「そうですね」

そう言葉を交わし、手を合わせた

「「「いただきます」」」

家族のように、声が揃う。