義兄


「テーツーヤー!!」


どんっと勢いよく抱きつかれて畳に倒れた。


「い、いた…」
「高尾!!お前はテツヤに何してるのだよ!」
「何ってハグだよハグ!もーかわいいなぁテツヤはっ」
「ちょ、あの…髪擽ったいんですが…」


そう言ってもぐりぐりと顔をすり寄せてくる黒髪の彼は、和兄さま。


「今日も大変だったろ?湯あみ行こうぜ。真ちゃん、今日湯あみ担当俺だよな?」
「あぁ。テツヤ、夕飯はなにがいい?希望に沿えるよう努力する」
「ほんとですか?えっと、えっと…お、お…」
「オムライス、か?」


ふ、と少し口角をあげた真兄さまがくしゃりと頭を撫でてくれる。
嬉しくて、恥ずかしくて頬に熱が集まった気がした。


「テツヤってほんと真ちゃんのオムライス好きだよなぁそれも可愛い!」
「ひゃわっ!?」


急にお腹あたりに和兄さまが抱きついてきて変な声が出た。


「か、和兄さまっやめてくださいっ」
「えー、仕方ないなー。湯あみ行くか!テツヤ、先行っとけ」
「はい、和兄さま」


駆け出して風呂場へ向かう途中、真兄さまと和兄さまをかえり見ると、なにか真剣に話を始めたようだった。


(不思議な兄さまたち…)