楽しい時間を過ごしませんか?
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「起立、礼…」
「「さようなら。」」

学級委員のその一言で、教室が一気に騒がしくなった。
今日は始業式ってこともあって授業はなく、自己紹介やら軽いHRやらで終わった。
転校初日から授業じゃないのはラッキーだった。
転校してきたばっかですることもないし、引っ越しの片付けもまだ少し残ってるから真っ直ぐ帰ろうと思って席を立った時だった。

「鍠海君」

名前を呼ばれて隣の席に目をやる

「えーと、志摩…だっけ?」
「そう。もう名前覚えてくれたんやな。」

そう言って志摩は微笑む。
はっきり言えば、今日一日でクラスメイトの名前はほとんど覚えてない。
でも、志摩に会ったのは初めてじゃないし、助けてもらったのに名前覚えてなかったら失礼じゃないか…!!

「鍠海君、今日これから空いてる?」
「へ、え、あ…今日?」
「おん。」

急に聞かれて少し声が裏返ったが、志摩は笑顔のまま……
いや…こいつ、笑い堪えてやがる。
取り敢えず志摩に罪はないし、そこはスルーして話を続ける。

「今日は暇だけど、何かあんのか?」
「暇なら、この町の案内でもしようかと思ったんやけど…どう?」

笑いが止まったのか、最初に見せた笑顔で話す志摩。

「え、いいのか?」
「おん。こうして鍠海君にまた会ったのも何か縁かもしれへんし、鍠海君がよければやけど。」
「お願いします!」

正直、志摩の提案は有難かった。
まだ、この辺のことは全然分からない。
親は仕事が忙しく家にいない事が多いし、引っ越して来たばかりで知り合いもいないから、案内してくれる人なんていない。
かと言って1人でうろつけば、変な奴に絡まれるわ道に迷うわで面倒だ。

「ほんなら、行こか。」

そう言って歩きだした志摩の背を慌てて追い掛けた。






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