カリカリと皆がノートを書く音が聞こえる。
いつもなら俺もその一人だが、今日は違う。
くるくるとシャーペン回している時も、それを落とした時も、ペン回しに飽きてボーッとしている時も、俺の視界にはみょーじの姿。
朝あんな事があった所為かみょーじの事が頭から離れねぇ。
今日一日、自然とみょーじを目で追っていて…
授業聞かなねぇとなぁ…と思ってんのにみょーじから目が離せない。
何なんだろうこの感じ。
みょーじを見ているとなんか心が温かくなるっつーか、幸せな感じになるっつーか。
ぽろり、と回していたシャーペンが手から落ちる。
それと同時にみょーじが席を立つ。

「前の世にも、御契りや深りけむ、世になく清らかなる玉の男皇子さへ生まれ給ひぬ。いつしかと心もとながらせ給ひて、急ぎ参らせて御覧ずるに、………」

さらさらと教科書を読んでいくみょーじ。
いつもなら古文なんて聞いても眠くなるだけで何とも思わねぇのに、みょーじが読むだけでいつもと全然違う。
落ち着いたみょーじの声はすごい綺麗で心地よい。
ますますみょーじから目が離せなくてじっ…と見てたら、教科書を読み終わったみょーじがちらりとこっちを見た。
たった一瞬だったけど確かに目があったような…あ……。
みょーじに見てたことばれた!?
や、やばいっ…!!
慌ててみょーじの方を見てみる。

「え……。」

かぁっ…と顔が熱くなるのが分かる。
なんだよ…あの反応。
普通に授業を受けている様に見えるが、下ろしている髪の隙間から見えるみょーじの耳は真っ赤で…。
ドキドキと心臓の音がうるさい。
窓から風が入ってくるけれど俺の頬の熱は下がるどころか上がる一方で。
再びみょーじの方を見てみると、鼓動が更に速くなる。

あぁ、これはもしかして………

自分の中に新しく生まれた気持ちを確かめるように、俺はみょーじを見た。

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