映画を見て、ご飯を食べ、適当にまたふらふらと二人で街を歩く。
その間、みょーじはきらきらとした表情で映画の話をしていた。

「あそこの主人公の台詞カッコよかったよね!演出も迫力あったし!!」

見たいと言っていただけあって、何時もよりもテンションが高い。
楽しそうなみょーじの表情は凄く可愛いので、チケットくれた真ちゃんには感謝だ。
お礼におしるこ一本奢ってやろう。
みょーじの話に相槌をうちながらそんなこと考えていたら、みょーじの足がぴたりと止まった。

「みょーじ?」
「あ、高尾君。ちょっとここ寄ってもいい?」

そう言ってみょーじが指を差したのは、可愛い雰囲気の小さな雑貨屋。
中に入ると、大きさも種類も様々だけどどこか素朴な雰囲気の雑貨が店内には置いてあった。
そーいや、みょーじってこういうの好きって前に言ってたな。
過去のやりとりを思い出しながらなんとなく雑貨を見ていたら隣から、あ…って小さい声。

「これ、いいなぁ…。」

そう言って目をキラキラさせたみょーじの手には、小さな花が真ん中のとこにいくつか繋がってる可愛らしいネックレス。
みょーじはしばらくそれを眺めてから、そっと元の場所に戻した。

「買わねーの?」
「うん、今あんまりお金なくてさ。」
「…」

あはは、と少し恥ずかしそうに笑うみょーじは、もう一度ちらりとネックレスを見てから、そろそろ行こうか、と出口の方へと歩き出す。
店を出る一歩手前で俺は立ち止まった。

「ごめん、みょーじ。ちょっと外で待っててもらっていい?」
「え…?」
「妹に頼まれてたもんあってさ。」

そう言うと、みょーじは納得したような表情で頷いて外へと出た。

さて……。

俺はさっきの場所へと戻って、一つの商品を手に取った。
小さな花のネックレス…みょーじがさっきまで欲しそうに眺めてたもの。
妹に頼まれてたものなんて嘘だ。俺の目当てはこのネックレス。
ベタかもしれないけど、みょーじへのプレゼントだ。
みょーじをわざわざ外に出したのは、ちょっとしたサプライズ。

喜んでくれっかな?

会計を済ませて俺は外へと出た。そこで、予想外の光景を目にした。

少し拗ねたように笑うみょーじと、あれは…誠凛の……

「伊月…さん…?」

俺の声に気づいたのか、みょーじと続いて伊月さんがこちらを振り変える。

「なまえが言ってたのって高尾のことだったのか。」
「うん。…って何で俊君、高尾君のこと知ってるの?」
「…お前、俺がバスケ部だってこと忘れてないか?」

かなり親しげな雰囲気で話す二人。
すごく会話に入りづらい。
しかも、みょーじは伊月さんのこと名前呼びだし…。
ぐるぐると自分のなかで嫌な感情が渦巻く。

「それじゃ、俺はこの辺で。」

そう言って伊月さんはどこかへと行く。
笑顔で手を振るみょーじに、更に湧きあがる黒い感情。

「高尾君…?」
「あ……。」

名前を呼ばれて我にかえる。
みょーじの顔を見てさっきの光景を思いだし、ずきりと胸が痛む。

「…悪い、みょーじ…」
「え…?」
「ちょっと急用できちゃってさ、もう帰らなきゃいけねーんだ。」

気づいたら嘘をついていた。
これ以上、みょーじと一緒にいたくなかった。

「ホント、ごめんな。それじゃ。」

戸惑いながらも頷くみょーじへの挨拶もそこそこに俺は走った。
ずきり、ずきり、と胸が痛む。苦しい。

「…っは…なんだよ、これっ……」


家に帰っても胸の痛みが収まることはなく、脳裏から楽しそうに話してた二人の姿が消えなかった。



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