色々な人がいる駅のホーム。私の探してる人は直ぐに見つかった。皆に囲まれて先輩方の言葉に少し困ったように笑ってる。声をかけようとゆっくり近づく。
「あ、なまえちゃん!」
私に気付いたのか、手を振りながら微笑むのは月子先輩。月子先輩の声に他の皆も私に気付く。
「なまえも来たんだ」
「梓君にはお世話になったしね。」
梓君の言葉に頷く。それから、梓君や翼君達と色々な事を話した。時間が過ぎるのはあっという間で…
「そろそろ、行かなきゃ。」
「っ……そうだね…。」
梓君の背後に見える電車。これに乗って梓は空港へ行き、飛行機でアメリカへと行ってしまう。
ずっと、ずっと、梓君が好きで…
ずっと、ずっと、好きだなんて言えなくて…
気持ちを伝えられないまま、今日になっちゃって…
「梓ー」
先に電車に乗った翼君の声が聞こえる。
あぁ、もうお別れなんだ…。
泣きたくなるのを必死で堪える。もう、会えないかもしれないから…最後は涙じゃなくて笑顔を見せたい。
「いってらっしゃい、梓君」
「いってきます」
梓君が電車に乗り込む。
「っ……待って!」
とっさに、電車に乗った梓君の服の裾を掴んだ。
「なまえ…?」
不思議そうな顔で私を見る梓君。
伝えなきゃ、この気持ち…
今伝えなかったら、きっと後悔する。
手を離し真っ直ぐに梓君の目を見る。
「一つ、言い忘れたことがあるの。」
声が震える。でも、伝えなきゃ。
「私、梓君のこと―――――」
発車を知らせるベルが、どこか遠く聞こえた。
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企画サイト『夢ものがたり』様に提出
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