バスから降りると少し体が痛かった。
長い時間乗っていたから仕方ない。
荷物を地面に置き、少し体を動かして辺りを見回す。
見慣れない景色が少し恐かった。
「ここか…」
バス停から数分歩くと目的地に着いた。
星月学園──────────
これから、私が通う学校……。
正門をくぐると直ぐに、見慣れた黒髪が見えた。
「あず!」
私が声をかけると、くるりと振り向く。
その瞬間、体が固まった。
あずの背後に、見たことないオレンジ色。
知らない人…。
「久しぶり、有紗。元気だった?」
久しぶりに聞いたあずの声。
返事をしたいのに上手く声が出ない。
「…う、ん……。」
少し震えながらも頷く。
「お前が、木ノ瀬有紗か?」
「っ……。」
あずと一緒に来たオレンジ色の人の言葉に声が出なくて、こくりと頷いた。
私が喋らなかった所為か、少し不思議そうな顔をするオレンジ色の人。
私の様子に気付いたのか、あずが私の頭を優しく撫でながらオレンジ色の人に話す。
「すみません、陽日先生。有紗は人見知りなので緊張してるだけなんです。」
「そういう事か!」
あずの言葉にオレンジ色の人が頷く。
「有紗、この人は陽日先生。」
そう言われて取り敢えず頭を下げた。
先生なんだ。
あずとあんまり身長が変わらないし、童顔だから生徒かと思った。
「全然喋らないし顔色も良くないから具合でも悪いのかとおもったけど、そうじゃないなら良かった!」
私に笑顔を向けてそう言う陽日先生。
「これからよろしくな!」
陽日先生の笑顔は太陽みたいだな、と思った。
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