ジリジリ。

外に出るともう真夏のこの時期はジリジリと太陽の日の光が痛い。これ、夏なんだろうけど。
ミンミン鳴く蝉の声も本格的になってきた。

滴る汗が更にわたしの中の水分を蒸発させた。暑い。暑い。


深く被った麦わら帽子の先に見える彼。どんどん遠くなる。
歩く速度が早いんだ。いや、わたしが遅くなってるんだ。

ぼやーっと蜃気楼でも見てるかのように遠くの景色と彼が遠くでぼんやりしてる。あれ?一緒にさっきまで歩いていたのに。


のそのそと歩く速度は落ちてもきちんと足を前に出して一歩一歩進む。その一歩がとても重い。

たらり。


また大きく雫になった汗が頬を伝って地面に落ちる。
落ちたそれは地面の熱で一瞬にして消える。きっと地面も水分が恋しいに違いない。

「…はぁ。あつ、い。」


「遅い。」

ぼふっと言う音と一緒に頭に誰かの手のひらがわたしの頭に触れた。うう、暑いのに。誰?
いや、誰かも分かってるんだけど。


「ハル。」

「歩くの遅い。」


目の前にはさっきまで遠くを歩いてたハルがいた。戻ってきてくれたの?それとも、知らないうちにわたしが追いついた?



「えへへ、ハルに追いついた。」

「ばーか、なまえが歩くの遅いから俺が戻ってきたんだ。」

「だって…暑すぎるよ……。ハルは暑くないの?」

「暑い。」

「暑そうに見えない…」

「水に浸かってるイメージしてみたら意外と我慢できるぞ。」

「そんなのハルだけだよ。」


わたしはハルみたいに水とお友達にはなれないし、そんなイメージしてもやっぱりこのジリジリと照らされる日の光とミンミン鳴く蝉の鳴き声を聞いたらそんなイメージも全部掻き消されてしまう。
ハルの顔を見てみると同じくらい汗はかいてるのに表情は涼しい。羨ましい。


「ハル、おんぶして。」

「お前なあ…。」

「もう、無理っ。」



嫌々しながらも、いつもハルはこうしてわたしがお願いするとちゃんとおんぶしてくれる。
小さいころからずっと、そう。
ハルの優しいところ知ってるから。ついついわたしも甘えちゃう。



「ハル、あとでアイス食べようね。ガリガリくんがいいな!」

「帰ったらな。あ。」

「 どーしたの?」

「スイカあった。」

「ほんと?!わーいっ。じゃあ、まこちゃん達も呼んでみんなでスイカ食べよーっ。ハル、急いで冷やさないとっ!!」

「わかったから、暴れるな。」



「スイカ嬉しいなー♪」



みんなで、涼しいところで冷えた夏の風物詩、スイカを頬張るのを思い浮かべたらわくわくでいっぱいだった。そんな夏休み。

ハルと過ごす夏休みが毎年楽しみなのです。


君と見る夏の風物詩



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