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部屋の前で深呼吸。
久しぶりのゾルディック家はなかなか緊張するものだ。
イルミは私を部屋に連れて来ると、仕事があるからと行ってしまった。
『失礼しまーす』
ギィ…と重い音を立てて扉を開ける。
中にはにんまりと妖艶な笑みを浮かべたシルバさん。
「久しぶりだな、名前。少し見ない内に念を覚えたようだな。…綺麗なオーラだ」
『お久しぶりです、シルバさん。ありがとうございます。何てったって、ヒソカとイルミが師匠ですからね』
修業の辛さを思い出すと涙が出てくる。
「ふっ、そうか。キルも先を越されたな」
面白そうに笑うシルバさんに苦笑いを浮かべた。
そういえば、キルアはどこにいるんだろうか。
『あの、キルアはどこに……?』
「もうじきここに来る。今は独房に入ってるがな。まあ、キルが来るまでキルとのこと、話してくれないか?」
『………もちろん!』
キルアはお仕置きを受けているそう。
だけど、ゾルディックの皆様はキルアが大好きなようだ。
現にシルバさんの今の顔は、普通の父親の顔だから。
私はハンター試験の時の出来事をシルバさんに話した。
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