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試合が始まって数分、ハンゾーが圧倒的に強く、ゴンはボロボロだった。


しかし、ゴンは意地でも“まいった”と言わずにいた。


「次は腕を折る」


ハンゾーが中々負けを認めないゴンにそう言った。


「嫌だ!」


対するゴンは嫌だと叫ぶ。


ハンゾーはぴくりと顔を引き攣らせて、鈍い音と共に、ゴンの腕を折った。


「ゴン…」


キルアはさっきまで、なんでゴンのが評価が高いんだと不満を言っていたのに、今はゴンの試合を複雑そうな顔で見守っていた。


『…きっと、ゴンのあきらめない気持ちが足りないんだよ。暗殺者は常に100%出来ると踏んだ上で仕事をするからさ。そこが評価に出たんだよ』


私がキルアにだけ聞こえる声で言うと、キルアは更に複雑そうな顔をした。


試合は結局ゴンの粘り勝ちで、ハンゾーが“まいった”と言った。


しかしそれに納得のいかないゴンが話し合おうと言ったのだが、ハンゾーが遂に切れて、ゴンを殴り飛ばした。


それにより気絶したゴンは、担架で何処かへ運ばれて行った。


負けたハンゾーはどこかすっきりしたような顔をしていた。


『………ゴンの真っ直ぐな気持ちはやっぱり私にはまだ眩しいや』


清々しい顔をしたハンゾーを見てそう思った。




 足りないもの


〈(名前が一瞬悲しそうな顔をしてた。それがどうしようもなく自分と被って見えた)〉


《(ゴンの人を引き付けるパワーも凄いけど、キルアも人を魅了する何かがあるんだよね。私には眩しくてしかたないよ)》


〈(俺、名前のこと守ってやりたい。悲しそうな顔はしてほしくない)〉
 

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