1
72時間以内にこのトリックタワーを降りることが試験内容だった。
下へ行けるだろう道は、案外直ぐに見つかり、皆別の道に行くことになった。
「じゃあ、少しの間お別れだね」
皆がそれぞれ違うところへ立つ。
「「「せーの!」」」
ゴンの言葉に続き、掛け声を合わせて一斉に道の中へ…。
三次試験開始―。
††††††††††
『気持ち…悪い』
ただ今私は急降下中です。
道を少し進んだら、下も暗くて全く見えないところへ落ちました、いや、落ちてます。
ナイフを壁に突き刺して、速度を落としてみるものの、十分速い。
『…怖いかも』
イメージも、この急降下のせいで台なしだ。
気持ち悪く無かったら、もっと取り乱してるだろうが、残念ながら吐き気のが勝っててそれどころじゃない。
悶々とそんなことを考えていると、急に地面が見えた。
『えっ、ちょっ!うわっ!!』
地面に激突する寸前に、念で身体をガードしたからなんとかなったけど、地味に痛い…。
『お尻痛い…』
お尻を摩りながら立ち上がると、目の前には大男がいた。
「テメェが俺の相手か。言っておくが俺は相手がガキだろうと容赦しねぇ」
落ちたときからイライラしてたけど、今の発言で更にイラッときた。
『…で?試験内容は?』
ギロリ、と大男を睨んだ。
「お前はどうせ俺に殺されるんだ。だから大人しくしていればいい」
『うん。じゃあ死んだほうが負けね』
[ 25/153 ][*prev] [next#]
[back]
[しおりを挟む]