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ヒソカの部屋から勢いで飛び出し、後悔していたところにキルアが通りかかり、そのまま抱き着いて飛行船を降りた。
しかし、やっと地上に下り立ったと思えば高い建物の上で、クラリと目眩がした。
「あちゃー、また高い所だね。大丈夫?名前」
ゴンが私の腕をさりげなくとりながら言った。
『…何とか』
飛行船よりまだマシだ。
「でもさ、試験内容によっては一人なんだぜ?一人で歩けなきゃ、意味ねぇじゃん」
あ、そっか。
試験内容によっては、一人でって、…嘘でしょ?
『地上、ここは地上…』
余計な雑念を振り払うように呟く。
何事も気から、思い込みでなんとかしよう。
イメージするんだ、ここは地上なんだと。
具現化系の特訓も毎日してるから、集中力には自信がある。
『よし。もう大丈夫、怖くないよ』
閉じていた目を開ける。
今の私には、ここが地上に見える。
「(…なんだ?顔つきが変わった。あれだけ本気で怖がってたのに、今は全然だ)」
「本当?名前ってば凄いや!思い込みだけで克服するなんて!!」
「(いや、名前の怖がりようは思い込みなんかで紛らわすのは難しい…。凄い集中力が必要なはずだ。…やっぱ、名前ってただ者じゃない)」
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