私の強さの意味


んで、マジで何も無かったのかよ。


根掘り葉掘りゾルディック家に居た時の話を聞かれる。


それはもう、事細かに。


『何にも無かったってば!イルミとも一緒に寝てな…いや、寝たや』


「はあ!?イル兄に何もされなかったか!?」


肩をがっしり掴まれ、前後に揺すぶられる。


うわああ、脳味噌揺れるー…。


これ一般の子にやったら確実に吐くやつ。


だってすっごい絶叫系なんて目じゃないくらいのGがかかってるんだけど。


『何にも無かったよー。…あ』


「あ?」


『いや、何もない』


「おい、名前。何隠してんだよ」


あー、もう私の馬鹿。


うっかりイルミに耳弄られた事思い出したからって声出すなよ。


キルアがさっきより怖い顔でぎりぎりと爪が肩に食い込む。


ちょ、痛い痛い、まじで痛いから。


『別に、耳弱点なの弄られただけだよ』


ふい、とそっぽを向きそう言えばキルアから何だか黒いオーラが。


あ、また墓穴掘った。


「お前なあ、もうちょっと危機感持てよ!」


『いや、危機感なら常に持ってるよ。私、イルミとかヒソカにいつ殺されてもおかしくないもん』


「そういうことじゃねぇよ!…って、はあ?ちょっと待て、いつ殺されてもおかしくないってどういう事だよ」


今度は私の言葉のせいで黒いオーラは無くなったけど、代わりに眉根が寄せられる。


キルアは心配症だし、ほんとに私の事を友達として見てくれてるみたいだからなあ。


これを言ったらどう思われるだろうか。


もしかしたらキルアには理解出来ないかもしれない。


『…えーとね、私は強いでしょ?って言っても元は強くなくて、念のおかげなんだけど。色々あって強くならなきゃいけない時に私は最強の念を作りあげた』


それから、まだ念を詳しく知らないだろうけど、私はこの説明をする為に念の制約と誓約についてを話した。


まず、私の念は最強でいる為に命を掛けていること。


基礎の念能力は特質系であり、詳しくは私の命に関わるから教えられないけれど、相性のいい系統の能力なら作れるというもの。


そして、私の念能力の媒介は自分の血液であること。


私は自分の体の一部を媒介にすることにより強さを手に入れたこと。


普段は使い過ぎても貧血程度だけど、本当にいざという時は命を掛けることも出来、その時の強さは自分でも計り知れないことも伝えた。


『ヒソカ達は私が強い限りこの関係でいてくれる。でも、私の考えが甘くなったり、弱さを見せたり、上限が見えれば殺される。それでも私はヒソカ達といるの、自分の目的の為、自分が最強でいる決意を鈍らせない為』


全てを話し終えれば、キルアに黙って引き寄せられる。


その腕に抱き締められれば、背中をあやすように撫でられた。


『キルア…?』


「どうせ名前の事だから目的については言わないんだろ?頼むからさ、無茶だけはしないでくれ…」


肩口に顔を埋めて少し震える体を抱きしめ返す。


ああ、やっぱりキルアは優しい。


根が優しいキルアにこの話は酷だっただろうか。


この優しさがきっとこれから辛くなる。


だけど、私はキルアがこのままでいて欲しいと思う。


私はこの優しさに救われたから、私のように汚い裏の人間になりきってほしくはないから。


いつかキルアやゴン達を置いて、この命を捨てる日が来るかもしれない。


それまではこの手で私の大切な人達を守りたい。


それが私の弱さにならないよう、逆に強さになるように。




私の強さの意味
〈絶対何があっても守ってみせる〉


《この命が消えるまではヒソカだって守りたい。私に守られるまでもなく強いことだって知ってる。だけど、あの人は無茶するから。例え私に興味がなくなって殺されようとも、私はヒソカもイルミも大切だと思ってる。私を強くしてくれたのは2人だから、生きる意味を与えてくれたのは2人だから……》


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