1
朝御飯はやはりというか毒入りで、あまり毒に慣れていない私にとっては少しきつかった。
いや、美味しいから食べたけど。
「名字、大丈夫?」
『うん。耐性はついてるから平気』
そう、舌がぴりぴりするくらいだ。
「お姉様!今から何処に行くの?」
べーっ、と痺れた舌を出して廊下を歩いていると背後からかけられた声。
振り向くと、カルト君がにこにこしながらいた。
『特に予定はないけど…。何処か行きたい所あるの?』
そう聞くと、カルト君は待ってましたとばかりに口角を上げる。
「僕、今から潜入して情報収集しなきゃいけないんだ。で、お姉様に恋人役になって欲しいの」
潜入タイプの情報収集は確かにパートナーがいると、怪しまれずにより多くの情報が集まる。
だから基本は恋人役などで潜入することが多い。
殆どの暗殺業者はパートナー制だろうと思う。
『うん。いいよ。いいよね、イルミ?』
「言ったって聞かないだろ」
『ありがとう、イルミ。じゃあミルキの所にいこっか』
まあ暇だし、ただの情報収集だし。
私はイルミに許可を取ると、カルト君の手を取りミルキの部屋に向かう。
††††††††††
『ミルキー。久しぶりー』
ミルキの部屋に入るなり、パソコンと向かい合っているミルキに後ろから気配を消して抱き着く。
久しぶりと口では言っているけど、御飯の度に会うから、会うこと自体は久しぶりじゃない。
ただ、こうして抱き着いたりするのが久しぶりなだけだ。
「うわっ!名字!?んだよ、びっくりさせんなよな」
コフー、と荒く息を吐きながらミルキは振り返った。
そして、私だと気付くと優しく頭を撫でてくれる。
正直ミルキが一番女の子の扱いに慣れてないけれど、一番女の子の喜ばせ方を知っているのでミルキに頭を撫でて貰うのは何だか気持ちがいい。
何て言うか気遣いが一番感じられるから落ち着くんだよね。
あ、でもイルミとヒソカに撫でられるのも同じ位好きかな。
「で、何しに来たんだよ。イル兄まで連れてさ」
ミルキの言葉に忘れかけていた本題を思い出し、抱き着いていた身体を離す。
『潜入タイプの情報収集手伝おうと思ってね。だから、一応相手のプロフィール聞きに来た』
私がそう言うと、ミルキは納得したような顔をしてキーボードを叩いた。
[ 147/153 ][*prev] [next#]
[back]
[しおりを挟む]