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本邸に着くと、まず出迎えてくれたのはカルト君とキキョウさんだ。


私は二人にお土産を渡した。


「あらまあ!いつもありがとうね、名前ちゃん!!」


「ありがとう、お姉様」


『ぐふっ!!』


二人に力いっぱい抱きしめられて、何か臓器が口から出そうだ…。


……ヤバイ…。


あ、川の向こうのお花畑にお母さんがいる……。


え、何お母さん?


よく聞こえないよ…。


もういっか………、


あ、あれ?


消えた……?


「大丈夫?名前」


『…ああ、うん。危うくお母さんとこ行っちゃうところだったけど』


イルミがキキョウさんとカルト君を離してくれたお陰で何とか死なずにすんだ。


いきなり入ってきた空気に噎せそうでちょっと憎いけど。


「ごめんなさいね、名前ちゃん…。って、こんなことしてる場合じゃないのよ!行くわよ、名前ちゃん、カルトちゃん!!」


いきなり強い力で引っ張られた私。


いつものパターン過ぎて、最近じゃイルミも止めてくれない。


この流れだとまた新しい服を仕入れたんだな…。
 

『で、なんで真っ白な着物なんです?ていうかこの柄どこかで……』


真っ白な着物の裾には黒い妖しく輝く蝶々と裾と胸には血のような赤の大きな牡丹の花。


袖や裾にいくにつれて淡いラメがキラキラ光っている。


帯は漆黒色で黒い糸で控えめで小さな刺繍が施されていた。


「これは貴女のお母様が着ていた着物なのよ。今日は…お母様のお誕生日でしょう?だから名前ちゃんを呼んだのよ」


『お母さんの…………。ありがとうございます、キキョウさん…』


そういえば今日はお母さんの誕生日だ。


考えたら墓参りも最近行ってなかったな…。


ここから近いし、明日にでも許可を貰って行こうか。


ぽろぽろと流れ出る涙を拭き、精一杯笑った。


着物からはお母さんの優しい匂いがしてなんだか嬉しい。


「もう着替えた?わあ…!お姉様、すっごく似合ってるよ!!」


「そうでしょう、カルトちゃん!…ふふっ、お母様より綺麗に着こなしているわよ、名前ちゃん」


タイミング良く入ってきたカルト君。


似合うと褒められて嬉しかった。


キキョウさんがお母さんのことを大切にしてくれているのも嬉しかった。
 

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