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いやぁ、サイン貰おうと思ってさ、とごまかそうとするキルア。
しかし、カストロが私達の名前を言ったところを見ると、ごまかしは通用しないだろう。
厄介なことにカストロさんは同じ階の選手のデータを集めるくらいには慎重な男らしい。
キルアもごまかすのは諦めたのか、能力について尋ねている。
「試合でお見せしよう。…といっても、そちらのお嬢さんは薄々感づいているようだが」
ではまた、そう言ってカストロさんは試合会場へと向かった。
「食えねぇ野郎だぜ」
『うん。結構強いと思う…。だけど、ヒソカが気に入るかどうかは微妙かな。あの人、死ななきゃいいけど……』
カストロさんの去って行った方向を見つめながら思ったことを呟く。
キルアには微妙と言ったが、恐らくヒソカの気に入るような成長の仕方はしていないだろう。
だってカストロさんは私がカストロさんの能力に感づいていると言った。
つまり、カストロさんの能力は多分、瞬間移動かドッペルゲンガーを念で再現したものだ。
ということは、あの人は絶対元はヒソカの性格別判断からして強化系なんだろうが、対極にあるものを極めて能力を作ったんだろう。
カストロさんに勝ち目はほぼないと考えるのが普通だ。
「大丈夫だって。仮にも相手はあのヒソカなんだ。ヒソカが負けるわけねぇだろ」
考え込んでいる私に、ヒソカの身を心配していると勘違いしたキルアが慰めてくる。
どっちかって言うと、カストロさんの身を心配してるんだけど…。
そう思いながらもありがとうとキルアにお礼を言った。
キルアが私を心配してくれてるのは嬉しいもん。
だから、そのお礼。
念能力〈よし、俺達も会場に行こうぜ〉
《うん!(あ、そう言えばマチに連絡してないや)》
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