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目の前が濃い霧のせいで微かにしか見えない。
キルアとゴンと私はまだ体力はあるから、クラピカとレオリオの数メートル先を走っている。
ヒソカは、もう少し後ろに居る。
…何も起こらなきゃいいんだけど。
「!!」
そう思っていると、ゴンが何かに反応した。
「どうしたんだ、ゴン?」
キルアもそれに気付いたようで、ゴンに尋ねる。
私も気になって、ゴンの表情を伺った。
「…今、悲鳴が聞こえた」
嘘をついているようには見えない。
ということは、私には聞こえ無かったけど、ヒソカが私の予想通りのことをし始めたのだろう。
『!レオリオの声』
考えていると、私にも微かに聞こえたレオリオの悲鳴。
ヤバイ、ヒソカなら躊躇わず誰でも殺す。
「…俺にも聞こえた」
どうしよう、どうしよう…!
レオリオもクラピカも危険だ。
「俺、助けに行ってくるよ!」
ゴンが伏せていた顔を勢いよく上げてそう言った。
ダメだ…、今のゴンじゃまだヒソカには勝てない。
このままじゃ、ダメだ。
私が行って何とかしなきゃ…。
『…ゴン、私も行く。一人より二人の方がいいでしょ?』
私はゴンに訴えかけるように言った。
「はっ!?お前ら馬鹿かよ!!今助けに行ったりしたら、下手すりゃ死ぬぞ!?」
キルアが、驚いた顔で私を見てくる。
ゴンも、私が行くと言い出すなんて考えていなかったのか、キルアと同じように驚いてる。
「ダメだよ、名前は!俺一人で行く!!」
『嫌!私も行くから!!絶対着いて行ってやるから!』
ここで退いたら後悔する。
二人に止められたけど、何とか私も助けに行くことになった。
「キルア、絶対追い付くから!」
『行ってきます!』
キルアと別れてレオリオ達を助けに向かう。
「…気をつけろよ、ゴン、名前」
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