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「ごめんなさい、ウイングさん」
ウイングさんは部屋に入るなり、ゴンを思いっきり怒った。
死ぬ可能性もあったと。
それでも無事でいてくれて良かったと彼は柔らかい表情をして言った。
ゴンも心配かけて悪かったと思っているのか、素直にウイングさんに謝っている。
「ところで、怪我の具合は?」
「医者は2ヶ月で治るってさ」
ウイングさんが不意に怪我の具合を尋ねると、キルアが飄々とした態度で嘘をついた。
…2ヶ月で治るんだろうか、なんてズレた考えをしていた私の言えたことじゃないけれど。
「名前さん……でしたよね?」
キルアがしてやったり顔をしていたのを見て、苦笑いしながら成り行きを見ていると、ウイングさんは不意に私に話しかけてきた。
『はい。そうですけど…?』
「ゴン君達の見張り役をお願いしたいんですが」
『ああ、なるほど。いいですよ。といっても、ゴンは何度も約束を破るような子じゃないですよ。…それは貴方もよく分かっているでしょう?』
ニヤリと笑いながら答えると、ウイングさんは頷いた。
優しい顔で頷いたウイングさんを見て、この人は強化系だなと思う。
単純一途、強化系の性格だ。
ゴンに誓いの糸を小指に巻いたウイングさんは、最後にゴンにもう一度だけ注意をして部屋を後にした。
キルアはウイングさんに話しがあるようで一緒に出て行ったけど、私はゴンとお留守番だ。
「名前は体、大丈夫なの?」
二人が出て行くと、ゴンはそわそわとしながら私に尋ねる。
『大丈夫だよ。…それより、私に何か聞きたいんでしょ?ああ、でもウイングさんが念のことを詮索しちゃいけないって言ってたから、念のことは教えないよ』
そう返すと、ゴンはしっかりと頷いた。
「キルアと何かあった?」
『…………は?』
ゴンの質問に首を傾げる。
私の予想では念の詮索か、私の無茶な試合について咎めるかのどちらかだと思っていたからだ。
なのに、キルアと何かあったか?
予想外過ぎてフリーズしてしまった。
『キルア?何もないけど、どうして?』
首を傾げながら聞き返す。
すると、何故かゴンも首を傾げながら答えた。
「え、だってキルアの態度なんか変だよ?それに、名前おんぶしてる時顔赤かっ「おい、ゴン!!」あ、キルア」
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