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キルアが気まずそうにしながら顔を少し赤らめ、私をチラリ見ると、今度は驚いたように私を凝視してきた。
「おい、何かあったのか!?」
『…?どうして?』
キルアの質問に意味がわからず首を傾げると、キルアは自分の袖で少し乱暴に私の目元を拭いながら口を開いた。
「泣いてるけど。嫌な夢でも見たのか?」
ごしごしと擦られるように拭われた目元は確かに少しひんやりしていて、泣いていたことが分かる。
『…昔の夢を見てたんだ。大丈夫、気にしないで』
自分から出た声が思ったより震えていた。
キルアはバツの悪そうな顔をした後、私をぎゅっと抱きしめた。
『キルア…?』
いきなりどうしたんだと尋ねようとするも、キルアの肩が少し震えているのに気がついて口を噤む。
「そんな顔すんなよ…。何があったか知んねーけど、もっと俺を頼れ」
キルアのほうが泣きそうな声をしていて、胸が痛くなる。
『………うん。ありがとう、キルア』
私はキルアの背中に怖ず怖ずと手を回した。
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