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名前の怪我は全治三ヶ月らしい。
刺し傷が酷く、更に肋骨が二本折れていたからなんだとか。
手当てを受けたばかりの名前はそれでもオーラはしっかりしている。
眠っている顔も穏やかだ。
「あ、そろそろ俺の試合だ」
不意に時計を見るともうすぐ3時だ。
「じゃあ名前は俺が見とくから行ってこいよ。あーでも俺もゴンの試合見てえな」
「ダメだよ!キルアは名前を見てて!じゃあ俺、行ってくる!!」
「おう。…頑張れよ、ゴン」
にっと笑ってゴンは部屋を出て行った。
俺は名前の寝ているベッドの端に座り、テレビをつける。
名前の髪を一束掬い、そこに口づけを落とす。
「名前、早く起きろよ?そんで、次はゴンとヒソカの試合一緒に見に行こうぜ。ああ、その前に俺の試合も見てもらわなきゃな」
ふっと優しい顔をして微笑むキルアはどこか寂しそうだ。
名前の髪を撫で付け、キルアは名前の頬を優しく撫でた。
そして、眠る名前の顔をじっと見つめ、吸い込まれるように名前の唇に自身の唇を重ねた。
そっと触れるだけのキスを名前に落としたキルアは片手で赤い顔を押さえ、呟く。
「ああー…、ヒソカの言う通り。意識ない奴に何やってんだろ…。でも、こんな無防備な寝顔見たらその……我慢できねえよ」
キルアは名前の手を握り、テレビの画面に集中した。
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