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私はビスマルクと名乗った男をじっと観察する。


炎を出して攻撃したとき、私は殺すつもりだった。


だけど、ビスマルクさんは瞬時に自らの念を使い空間に穴を開け私の後ろに繋げて右腕を失っただけで済ませた。


それどころか、傷口からはもう血は出ておらず、念で止血していることから能力がまだあることが分かる。


ヒソカと同じく変化系か、はたまた私と同じ特質系なのか…。


どちらにせよ、この人は強い。


私は指先にオーラを貯めて、更に圧縮された炎の弾をつくる。


そして、素早くそれをビスマルクさんに撃った。


「ふんっ。まだ甘いな」


『がはっ!』


しかし弾を避け、ビスマルクさんは自身の念を駆使して私の背後から蹴りを入れた。


私の身体は地面に強く叩きつけられ、吐血する。


内臓を傷つけてしまったようで、口から漏れだす血液の量はかなり多い。


小さな血溜まりが足元に出来るが気にもとめずに、立ち上がる。


『…油断してたみたい。こっからは本気でいくから』


低くそう吐き捨て、私はビスマルクさんに近づき分厚い炎を作る。


そして、小さな爆発を起こした。
 

「くっ…!」


ビスマルクさんは分厚い炎から不規則に起こる爆発に何度か当たるも致命傷には至らなかった。


それどころか、爆発を避けながら私との距離を爆発に紛れながら近づき、気付いた時には彼に腹部をナイフで深く刺されていた。


『うあ………っ!』


先程より大量に吐血する。


足元に大量の血が溜まり、足場を悪くする。


「おっと。悪いね。そんなに深く刺すつもりはなかったんだが」


ニヤリと弧を描いて勝ち誇ったように笑うビスマルクさんに、絶対嘘だと思い睨むも無駄な抵抗だ。


私はゆっくり立ち上がりながら、腹部に深く刺さったナイフを抜いた。


血を留めるものが無くなり、傷口からも大量の血が出る。


『残念でした。貴方は最大のミスを犯した。私の制約と誓約は自身の血を媒介にして攻撃力の強い炎を作っているの。つまり、この血まみれのリングじゃ、私は最強』


ふらりとしながら名前はニヤリと笑い、リング内で大爆発を起こした。


「ビ、ビスマルク選手、戦闘不能により勝者、名前!!」


ビスマルクを半殺し程度にした私は、勝ちの合図と共に倒れた。
 

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