5

 
名前は苦しげに顔を歪め、火を出した。


赤い炎に二人が包まれ、炎が消えるとビスマルクの右腕がなくなっている。


「すごい…。キルア、ビスマルクさんの動きも名前の動きも見えてる?俺、最初の名前の蹴りは見えたんだけどそれ以降は全然」


ゴンがぽつり、とそう言った。


俺はリング上に顔を向けたまま答える。


「ぎりぎり見えるくらい。けど、名前のあの炎の中での出来事と、ビスマルクって奴が一瞬で名前の背後に移動したあれは早過ぎて見えなかった」


隣のヒソカはクツクツと喉を鳴らしながら名前を見ている。


リング上の名前はいつもの暢気な顔から一転し、ニヤリと顔を歪めてビスマルクを見ている。


『ふーん。自在に空間に穴を開けたり繋げたり出来る念能力、ね。瞬間移動したみたいにも見えるし完璧だねえ…?』


ニヤニヤと顔を歪める名前の雰囲気はヒソカのそれと近い。


純粋にこの戦いを楽しんでいる。


ただヒソカと違うのは、名前はヒソカとは違って血が嫌いだと言うこと。


名前は楽しむためならどんな手段でも使うというようなことはしないだろう。


『私さ、好きなものは先に食べるタイプなんだ。殺されないように覚悟してね』


その一言を言い切ると、名前は赤い炎を壁のように広げた。
 

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