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少し走ったところで、男の子のスピードがほんの僅かに落ちた。
どうしたのかと思い、男の子の方を見ると、男の子が不意に口を開いた。
「…アイツら馬鹿じゃねぇの。他人のことなんかほっときゃいいのに」
…この子、根は優しいんだ。
三人のこと本当は心配してた。
この子はそんなこと考えてなさそうに見えるけど、誰よりも他人想いなんだ。
『優しいんだね。そんなこと思うって、少なからず君も心配してるってことじゃない?』
私がそう言うと、勢いよく私を見る男の子。
「なっ…!ちげぇよ!!」
ほんのりと赤い頬。
そのことに気付いていないのか、私の目を見ながら懸命に言い訳をしている。
『そうかなぁ〜?心配なら二人の後追わない?どうせまだ追いつけるんだし、ね?』
「…………行く」
『決まり!君も素直じゃないなぁ〜』
少し渋ったけど、やっぱり心配だったのか、頷いた男の子に笑みが漏れる。
「うるせっ!//…俺の名前、君じゃなくてキルアだから」
銀髪の男の子はキルアという名前らしい。
少しは信用してくれたのかな。
『じゃあキルア、行こっか!』
私はキルアの手をとり、もと来た道を戻った。
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