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コツコツと足音が響く。
扉の100メートル先位でマチはぴたりと足を止める。
「これでアタシともお別れだね。元気にするんだよ。なるべく怪我もしないように気をつけること。…それから、これはアンタに」
マチがポケットから小さな袋を取り出す。
シャラ、と音のなる袋を断りを入れて開けると、中には可愛いネックレスが入っていた。
ネックレスは和風で、べっ甲や真珠に細かい掘りが入っている。
それは洋服にも合わせることの出来るような淡い琥珀色に輝いている。
「名前が今度来たら渡そうと思ってね。…気にいったかい?」
『うん、とっても!綺麗な装飾…。ありがとう、マチ!!』
早速貰ったネックレスを付けて、似合う?とマチに問う。
似合う、と返してくれたマチにきゅっと抱きついて再度お礼を言うと、マチは照れながら私の頭を優しく撫でてくれた。
「ほら、早く行きな」
『うん!マチ、またヨークシンで会おうね!!』
ひらひらと手を振ってマチを見送る。
マチの後ろ姿が見えなくなったところでようやく扉の前に立ち、息を吐く。
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