魔界トンネル疑惑の亀裂


†Case14:魔界トンネル疑惑の亀裂†




ブン太と教室に疲れたと倒れ込むようにして入る。


が、教室の空間に変な亀裂が入りかけていた。


魔界への入口か?と少し呑気に考えるも、その亀裂から流れるオーラからこれが開ききるとかなり危ないことが分かる。


鬼門……じゃないな。


鬼門は丑虎の方角にあるはず。


…じゃあこの亀裂は何だ?


本気で魔界とのトンネルとかならどうしよう。


ていうか、どうやって塞ごう。


「なあ、名前。あの亀裂なんかヤバくねぇか?」


『ヤバイよ、多分。ブン太、悪いけど私の机から鬼のパンツの楽譜探してきて。あと…、魔界トンネルって本も』


何でそんなマニアックな本を持ってるかとかはツッコまないで。


ちなみに魔法陣の本とか聖書とかも持ってるよ。


全部幽霊とか祓うためであって、私自身に変な趣味はないらね?


「あったぞ!でも、鬼のパンツの楽譜なんか何に使うんだよ?」


『鬼門の方角の確認。この歌はね、簡単に言うと、鬼門は丑虎の方角にあるぜ☆って歌なの。で、魔界トンネルのほうは、と』


ブン太に答えながら目を通していく。


魔界トンネルを作るにはまず、大量の魂を喰らった悪魔と詠唱が必要。


それから人々の負の感情がいる。


††††††††††


まあ、作り方は想像通りだ。


で、レベル1は亀裂が出来て悪魔の行き来はできない。


…今はレベル1か。


閉じる方法は、…修復の魔法陣か。


魔法陣って、魔法ってつくけどただ描けばいいだけじゃないんだよね。


魔法とは似て非なるものだからね。


霊を祓うだけなら等価は私の血と聖水だけでいいんだけど、修復は何がいるんだろう?


『ブン太、出来れば魔法陣の本も取って』


「何色のヤツ?」


『えっと、革で全部英語の』


「これか?」


『うん、これこれ。ありがと』


ブン太に手渡された本のページをめくる。


あ、あった。


修復の魔法陣の等価は、下等悪魔一匹と使い魔の血とその主の血を一滴ずつ、それと聖水一滴。


下等悪魔はこの前封じたのを小瓶から出すとして使い魔か…。


久しぶりだけど大丈夫かな…。


「どうかしたのかよぃ?」


『ブン太、危ないから下がっててね』


とにかくやらなきゃ数日でここら一帯幽霊とか悪魔とか妖怪とかで溢れる。


そう思い私は白いチョークで魔法陣を描く。


使い魔を呼び出すには自分の血液を少しと聖水、それから自分の毛髪を一本、ただそれだけだ。


…必要なモノはね。


††††††††††


パアッと光り、詠唱を始める。


私の詠唱は声の振動によって使い魔(魔神とも言う)を喚びやすくしているものだ。


この詠唱を覚えるのに三年はかかったなあ、っていう思い出がある。


頭が良くない私は泣きながら長い詠唱を覚えた。


霊を祓うときには無防備になるから使わないけれど、やはりこういう何かを喚び出すときには欠かせないのだ。


ただし、この詠唱は喚び出すもののランクが上がれば上がるほど長く難しいものになるし、代償が大きくなる。


上級のものになれば等価として主の魂がいるほどだし、もし使い魔に認めてもらえなければそれはすなわち死を意味するほどだ。


だから私は知識は叩き込んだものの中級までしか喚び出さない。


まあ、今のところほとんど等価なしで喚び出せる相性のいいケルベロスのリュークしか喚び出したことないけど。


あ、相性っていうのはね、喚び出す使い魔との命の波長が合えば合うほど等価が少なくても喚び出せるの。


等価はこっちの世界と使い魔の世界を行き来するのに必要で、無理矢理主の命の波長と使い魔の波長をそれで合わせて簡単にいうと磁石みたいに引き寄せて連れてくるのね。


つまり、元から波長が近ければ等価は少なくていいってわけ。


まあ、これは生まれ持ったものだから仕方ないんだけど。


††††††††††


私は久しぶりにケルベロスのリュークを喚び出した。


この子が唯一私と波長の近い子。


『久しぶり、リューク』


リュークの姿を詠唱で人間の姿に変える。


確かこの詠唱だけで覚えるの半年かかったんだよね。


何度お母さんにやる気あるの?って怒られたことか…。


覚えるまでずっと音読させられたなー…と遠い目をしながらリュークを見る。


相変わらず相性がいいようで、等価は少なくて良かった。


ちなみにこの相性、人との相性が変わるように少しずつ変わっていくものなのである。


さっきは難しく命の波長だと言ったが、まあ人と人との相性と同じだと考えてくれていい。


唯一違うのは、お互い波長が合ってるかどうか、非科学的だけど感じるというところだ。


リュークを喚び出すのは結構久しぶりだけど、(よっぽどのことがないと喚び出すほうが体力もいるから喚び出さない)波長はあの時よりも更に合っている気がする。


「お久しぶりです、名前さまっ!」


そう言って満面の笑みで抱き着いてきたリュークを抱きしめた。




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