『とうとう明日だね、体育祭』

「そやなぁ、あっちゅーまやったわ」

『明日、ブロック対抗リレーに出るんだよね?』


隣を歩くなまえは女子の中でも足が速いのだが、ギリギリブロック対抗リレーに出場する枠には入らなかったそうだ。
そのことを気にする様子もないので彼女としては出たかったわけではないらしい。

スピードスターを語る俺は勿論それに出場するうちの一人であり、アンカーも任されとる。


『頑張ってね!』


長くに渡って想いを寄せてきた相手に頑張れと声を掛けられれば否応なしにモチベーションは上がるわけで。


「勿論や!アンカーは俺に任せとき!」


トップでゴールテープを切ること以外、既に頭にはなかった。





やってきたのは体育祭当日。人に溢れ、がやがやと賑やかな四天宝寺中。

皆がわいわいと応援や観戦をしている中、一人闘志に燃えているる人物がいた。


「白石、今日は絶対優勝したるで!」

「なんや、謙也張り切っとるな」

「今日のブロック対抗リレー、スピードスターの名にかけて負けるわけにはいかへんのや!!」

「こんなチャンス逃がせへんからなぁ」

「そーなんや、て、は?!」


なんとなしに隣に立っていた白石に話しかけただけだったのに白石にはお見通しだったようだ。


「なまえさんに格好いいとこ見せたりや」

「お、おん!」


やっぱり白石には適いそうもないらしい。

スピーカーから聞こえてきたリレーの召集。
準備運動よろしく門へ向かって駆け出した。




「怪我でリレー走れへん?!」

「ほんまごめんな、みんな!一応代わり連れてきとるんやけど…」

『が、頑張ります…!』

「なまえ?!」



急遽怪我で出場出来なくなった女子が連れてきた人物は紛れもないなまえで、なんと、


『お、忍足くん!私足引っ張っちゃうかもしれない…!』

「なまえの足やったら大丈夫やで、自信持ち!」


俺の前の走者になったらしい。


「位置について、よーい」

パンッとピストルのスタートの合図が響き渡った。




なんともいいペースで進むリレー。
そしてなまえに渡ったバトンだが、そのバトンはなまえの手からするりと抜け地面へと落下してしまった。


持ち前の彼女の足の速さで巻き返したのだが前を走る生徒との差は約半周。


『謙也くんっ!』


なまえからバトンを受け取った際に聞こえてきたその声に、俺の足は自己最高記録を叩き出していたに違いあらへん!




『お、忍足くん…!やっぱり私バトン…』

「そんなん関係あらへん!スピードスターに任せとき言うたやろ!」



あのまま、怒涛の追い上げでゴールテープを切ったのは、忍足だった。

その勢いのままなまえの元へと戻ってくれば彼女の方から駆け寄ってきた。


「それより、い、一位になったご褒美?欲しいんやけど」

『う、うん!私があげれるものなら!』

「俺と、つ、つき、」

「何もじもじしてるんすか、気持ちわるいっすわ」

「謙也ー!ごっつ速かったなぁー!!」

「ごふっ」

『忍足くん大丈夫?!』

「財前に金ちゃん今は邪魔せんとよ」


心が折れてまう数秒前。
ふっと現れた千歳に財前と俺に引っ付いとった金ちゃんが引きずられていった。



『忍足くん…?』

「あー…、名前。あんときめっちゃ嬉しかってん」

『あ、あれは咄嗟に…!』

「俺とっ、…付きおうてくれへんか?」

『っ、うんっ!』



たった一つの言葉


『謙也くん!』


それだけでスピードスターは負けへんっちゅー話や!






*あとがき*

いいい依緒璃ちゃんっ…!
なんだか意味不明!!
最後はくっつけるか迷いましたが、くっつけちゃいました(つω;)
スピードスターでヘタレてれば謙也なのか……?!
返品は依緒璃ちゃんのみでお願いいたしますっ。


* * *


莉葉ちゃんに5万打祝いとしてヘタレ謙也を頂いちゃいました^^*

他の四天メンバーまで出るとか、何それどんなサービス!?((


本当に毎度毎度、ありがとうございましたっ!