日直の仕事ってめんどくさい。
しかも今日は金曜日。
週末の日直に当たると、教室のゴミを焼却炉まで持って行かなければならなくなる。
私はゴミ袋を抱えて、体育館裏にある焼却炉に向かった。
あぁ…疲れた……。
今週も1週間、頑張った。
私はこれと言って部活に入ってはいないけど、疲れるものは疲れる。
本当は早いとこ帰ってベッドでゴロゴロしたかったけど、あまりに夕日が綺麗だったから、グラウンドの方を通ってゆっくり教室に戻ることにした。
「……あ、」
コロコロ…と足元にサッカーボールが転がってきた。
それを拾い、転がってきた方向を見ると、クラスメイトの奴良くんが慌てて走ってきた。
「みょうじ、わり…怪我とかしてねぇか?」
「うん。私は大丈夫。奴良くんってサッカー部だったんだね」
「まぁな。みょうじは部活なんか入っていたのか?」
「いや、今日は日直の仕事でゴミ捨ててきたとこ」
「そっか、ご苦労さん」
「奴良くんこそ」
驚いた。
いつもクラスの中心にいる奴良くんは、その見た目からチャラい人だと思っていたけど、そうでもないらしい。
意外と気さくな彼を見て、私は今までの偏見を恥じた。
「…なんか、みょうじって話しやすいな。俺、今までずっとクールな奴だと思ってた」
「クール…?」
「うん。なんか冷たそうだと」
奴良くんの言葉に、思わず吹き出してしまった。
なんだ、奴良くんも私を誤解してたのか…。
奴良くんは私が怒るのを覚悟で言ったらしく、いきなり笑った私にびっくりしていた。
だから、私も誤解していたことを正直に話した。
「なんだ、俺達似た者同士だな」
「ふふっ…笑っちゃうよね。…ってか奴良くん、部活は?」
「あぁ、今休憩中。もうすぐ再開だな」
「そっか、練習頑張って」
「サンキュ!あ…みょうじ、明日練習試合あるんだけど、見に来ねぇ?俺一応スタメンだから、応援して欲しい」
奴良くん人気だから、明日はグラウンドのフェンスにたくさんの女の子がズラリと並ぶんだろうなぁ…なんて思いながらも、気づいたらオーケーを出していた。
「じゃあ、明日活躍、期待してる」
「任せとけって!気をつけて帰れよ」
「うん、ありがとう。バイバイ」
私は奴良くんに軽く手を振って、そのまま校舎に向かって歩き始めた。
そうしたら、みょうじーっ!と背後から呼び止められた。
「お前、笑ってる方が可愛いよ!」
……そういうこと、大声で言わないで欲しい。
私は真っ赤になった顔をごまかすように校舎まで走った。
明日はどんな顔して応援に行けばいいの?
* * *
昼間でも夜若は通常装備。