あ、一番後ろだ…。
ラッキー、なんて思いながら荷物を移動させる。
長いこと席替えをしなかったから周りのメンバーが誰になるだろうか、なんて久しぶりにわくわくしながら今までお世話になりました、と元の席と周りの子に心の中で告げる。



次の席は廊下側だった。というか、教室の後ろのドアのすぐ手前。これなら遅刻しそうになった時に便利かもしれない。…まぁ遅刻しかけたことないけど。




「あ、みょうじさんだ」

「え?」



ふと隣を見ると、猩影くんが長い足を思いっきり伸ばして机に突っ伏しながらぱたぱたと軽く手を振っていた。



「また隣だな」

「だねぇ」



よろしくー!と言いながら手を振り返すと彼はにっこりと笑ってくれた。
彼とは以前も隣同士でそれなりに仲良くさせてもらっている。
隣の人との間なんて、そう広いものじゃないけれど、猩影くんの隣は特に狭く感じる。…狭い、と言っても嫌じゃない。むしろ彼は優しいし面白いから嬉しいくらいだ。




「つーかこの席いいね。後ろだから寝ててもバレなくね?」

「えー?猩影くんは大きいからアウトでしょ?」

「あぁー…、やっぱりか。でもその点みょうじさんはいいね。バレそうにないし、遅刻しかけてもその席なら大丈夫そう」



あ、私と同じことを考えている…。
なんだか嬉しくなって、自然と顔面の筋肉が緩むのを感じながら、さっき思ったことをそのまま口にした。



「私は誰かさんと違って居眠りも遅刻もしませんから特に利点はありませんよー」

「……それって俺のこと?」

「さぁ、どうでしょう?」

「みょうじさんって案外手厳しいのな」

「ふふっ」



猩影くんとのお喋りは本当に楽しい。
特に趣味が合うって訳じゃないけど、話題は尽きないし。
それに猩影くんとの間の沈黙は気まずくない。心地よいと感じる時ですらある。
…何ていうのかな、波長が合うって感じ?




「あ、そういや来週の遠足、この席の並びで班組むんだと」

「へぇ…なら一緒だね」

「…俺みょうじさんと一緒で良かったわ」

「え、それってどういう…」



猩影くんの口から紡がれた言葉に思わず彼の方へ振り返った時だった。



「おいその廊下側の後ろ二人ー!
TPOを考えていちゃいちゃしなさい」



担任に呆れたように言われ、クラス中がどっと沸いた。
猩影くんの言葉の真意を確かめたかったけど、私はあまりの恥ずかしさに顔を上げることが出来なかった。
隣でくっくっく…と笑う彼に、私は一生勝てないと思います。



(惚れた弱みというもの)


* * *


ということで猩影で教室でした!
なんか一発目からありきたりな文になってしまいましたが愛はこもってまry


好きな人がクラスにいるだけで席替えへの関心がだいぶ変わりますよね(笑)



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