04



どうしてこうなった…!?


私は今、ボールを挟んでティピカと向かい合っている。
しかもティピカは顔が真剣だ。


さっき監督さんが帰ってきた。
美人女監督にwktkしていると、誰かがカズヤに食らわせた話を言ったらしく、何故か監督さんにティピカと勝負するように言われ今に至る。
…美人の威圧感ハンパねぇ。
それにしても、私、もう長いことサッカーしてないんだけどな。
事情を知ってるアキとアスカは心配そうな顔をしている。
カズヤはなんと、ニコニコ笑いながら親指を立てていた。
…後で絶対殴る。


「アリシア、手加減なしだよ!」
「…分かった、ティピカがそれを望むなら!」


私は一瞬ボールを浮かせると、それを皮切りにゴールに向かって走る。
でも、もちろんゴールに行くまでにティピカがいる。
なんとかして抜かなければ。


ティピカを前にして、久しぶりのサッカーに鳥肌が立った。
私は必殺技を繰り出そうとするティピカを見て、それから瞬時に頭を回転させる。


…ティピカは、このチームで女の子なのに選手としてやっている。あの監督さんは厳しそうだし、並みの実力じゃないんだろう。
そう思い、私はボールを高く上げる。


「くっ…」


ティピカもまさか上を使うとは思わなかったのか、一瞬動きが鈍った。しかし、やはり流石現役と言ったところか、すぐに体制を立て直す。
私が飛ぶとほぼ同時にティピカも飛んだ。凄い反射神経をしている。


「「もらった…!」」


同時に足がボールに触れたが、練習量の差か、ティピカの力の方が上回り、ボールはそのまま私の後ろへと飛ぶ。


「あはは…止められちった」


なんかもらったー!とか叫びながらもらい損ねたとあって、かなり恥ずかしい。
私が頬をかきながら、グラウンドに座るティピカに手を差し出すと、ティピカは手をとってくれた。


「凄いねぇ、ティピカって!」
「アリシアこそ!一瞬抜かれるかと思ってひやひやしたよ!」


ティピカとの真剣勝負は楽しかった。
サッカーは二度としない。そう思っていたけど、やっぱり私はまだサッカーが好きだったんだ。


「ありがとう、ティピカ…」
「こちらこそ、楽しかったよ、アリシア!」


多分、ティピカは分かってないだろうけど、私は今日、確実に彼女に救われた。
マークとディランに続く私のサッカーの恩人だ。


アキを見ると、彼女も嬉しそうに笑っていた。


「アリシアさん…あなたもしかして…」
「いやぁ、やっぱりちゃんとコツコツ練習してないとダメですよね!明日筋肉質になるかも!」


監督さんの言葉を遮って喋ると、監督さんも何かを察したのか、そのまま何も言わず、今日の練習の終了だけを告げた。


―――――――――
―――――


「もう帰っちゃうんだね…」


翌日、ティピカが校門まで来てくれた。
ちなみに、昨日はアキの家にお邪魔しました!
本当はもっとジャパンにいたかったけど、皆は次にオオサカに行くらしいし、私もマークから怒りのメール(マークに学祭の仕事押しつけたのバレた)をもらったし、仕方ない。


「大丈夫、サッカーさえあれば、また会えるよ!」
「…そうだね!次会ったら、またティピカと勝負してね!」
「次は負けないからね!」


ティピカに手を振って、バスに乗った。
ティピカはバスが角を曲がるまで、ずっと手を振り続けてくれた。



(いつか、また会いたいな…)
(あ、マークとディランにお土産買わなきゃ…!)


* * *


ということで、長くなりましたがアリシアとティピカちゃんのお話でした!
最初、単にアリシアが日本に来ただけみたいで、思いっきりティピカちゃんとフラグが立たなくてびっくりしました←
そしたら色々長くなりました…。
なんかごめんなさい(´Д`)


氷乃ちゃん、凄いアレな内容ですが、よければもらってやって下さいませ!



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