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「何故ですかシン!?早急に兵を出すべきです!!もし本当にジュダルがこの国にいるのだとしたら大変なことです!!
何かあってからでは遅いんですよ!?」
「分かっている。しかし、兵達ではマギには対抗出来ない。」
「なら、私達が出ます。眷属器使いと魔法使いなら、防御壁も問題ない。」
港から戻ってすぐ、シンドバッドさんの部屋からは、焦りを隠せないジャーファルさんの声が聞こえた。
勿論、俺も心中穏やかじゃない。バルバッドでの嫌な思い出は、まるで昨日のことのように鮮やかだ。絶対に、一生消えることのない記憶……。
「……アラジン?」
部屋に戻ると、そこには誰もいなかった。
モルジアナはまだマスルールさんとの修行から帰ってないから分かる。
けど、アラジンは?
少し外に出ているだけなら、問題ない。
しかし、部屋にあるはずの杖が無くなっていた。
「まさか…!!」
俺はアラジンを追って、部屋を飛び出した。
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