5.貴方だけ


あなただけが私にこんな気持ちをくれる・・・・


愛してる


愛してる






初めはただあなたを見ていられるだけで良かったのにね

















「あんた達も付き合い始めてもう3年目か・・・」



コンビニで買って来たムースポッキーを食後のおやつとして食べていた私。


そんな私の向かい側で椅子に横向きに座ってこちらに視線を向けている リオ 。


リオ は私の顔を見てどこか感心したような、又はどこか呆れたような様子で呟いた。


私は リオ のその呟きに数秒天井を見上げて「う〜〜ん」と唸った後、「そう言えばそうかも・・・」と答える。


リオ は私のその返答に少々ビックリしたような顔で口を開く。






「うわっ、あんたの事だからもっと「うわ〜どうしよう!エドと二人っきりで記念日お祝わいしなきゃ♪」とか言うのかと思った・・・」




リオ のその呟きに、私は咥えていたムースポッキーを一度手にとってから答える。






「いや、確かに3年も付き合えて嬉しいけど・・・・なんか今でも夢みたいなんだよね〜。

だってあのエドだよ?!

中学一緒だったんだから、 リオ だって知ってるでしょ?

あの信じられないほどのバレンタインチョコの山!!!」




私のその言葉に、 リオ が紙パックのジュースを一口飲んだ後頷く。



「あ〜あ〜、ありゃ確かにすごかったな。

うち、下駄箱からバサバサ音立てながらチョコが出てくるなんて漫画の中だけかと思ってたから、実際目の前で見れるなんて思いもしなかったもんなぁ」




リオ のその言葉に私は軽く苦笑する。



「それくらいモテるエドが私とだよ?信じられる?

現実感無さ過ぎ・・・長い夢見てる気分だよほんと」



私のその言葉に、今度は リオ が苦笑する。


そして飲み干したのか、紙パックを潰しながら口を開く。






「でも実際にはもう3年もあんたら付き合ってるよ。

初めこそあった嫌がらせも無くなったし、今じゃ立派な公認カップルだよ。」





嫌がらせ・・・


あ〜確かに付き合い始めた頃はそんな事もあったな〜なんて思い出す。


辛かったけど、相手がエドなんだからそりゃ嫉妬もされるよねって半ば諦めてて・・・


黙って我慢してたのに、エドは私が嫌がらせされてるのに気付いてくれて・・・


そして、それがきっかけで毎日一緒に帰るようになったんだっけ


それからは段々と嫌がらせも減っていって、今は・・・・






「公認か〜〜〜・・・でも思い出せばこの3年間本当にイロイロな事があったなぁ・・・・

楽しい事や辛い事とかも含めて本当にいっぱい・・・・」



思わず思い出すように目を瞑る。







付き合い始めたのは中学3年の時。


ずっと前からエドには憧れのような気持ちを抱いていた。


でもそれが実は恋なんだって気付いたのは周りが「卒業」や「進学」という言葉でいっぱいになってきた頃・・・


もしかするとエドに会えなくなるかもしれないんだと思ったその時、初めて胸の痛みに気付いた。


でも臆病者の私は、だからと言って何もする事ができずずっと自分の気持ちを見て見ぬふりをし続けた。


昼休み、だんだんとエドが他のクラスの女子達に呼び出されていってしまう様子を、私はただただ黙って見送った。


告白をOKしたんだろうか?


教室に帰って来たエドを気付かれないように視界に入れつつ、考えても分かるはずもない疑問を繰り返すばかりだった・・・




そして、そんな日が続いたある日・・・・・


とうとう辛過ぎて教室を飛び出した私。


そんな私をエドは何故か追いかけてきてくれて・・・


そして私はエドから告白された。


あの時は本当に何が何だか分からなくて白昼夢を見ているような気分だった。


パニックに陥って泣き出した私はそれでもバカみたいに頷いて・・・





あの日、私達は付き合うことになった。









それから受験する学校が同じだと知って喜んだり、一緒に勉強したり・・・


高校に受かったときは二人でそのまま遊びに出かけた。


どこに行くかなんて決めていなかったから行き当たりばったりな一日だったけどとても楽しかった。


そして、帰り際私達は始めてキスをした・・・


恥ずかしくって、真っ赤になって俯いちゃったけどとても嬉しかった。













回想が高校入学後へ向かおうとしたその時、苦笑混じりの リオ の声が耳に届いて思考は中断される。





「エドの浮気現場見たとか言って夜中うちに泣きついて来た事もあったよな〜。

まぁ、あれは全部 マイ の勘違いだったけどな」




「うぅ、あの時は本当にお騒がせ致しました・・・・」



そう言えばそんな事もあったかと顔を覆いたくなる。


確かあれは高1の夏休み。


少し時間は遅いと思ったが、CMを見ていたらどうしても食べたくなってコンビニまでアイスを買いに行った。


バニラとチョコで10分くらい真剣に悩んで、結局は両方買っちゃって・・・


そんな帰り道、私はエドと女の子が親密そうに歩いているのを見かけてしまった。


エドには姉も妹もいないって聞いていたから家族っていう可能性はないし・・・


でもただの友達といるには遅すぎる時間帯・・・







いろいろ考えているうちに嫌な事しか考えられなくなって・・・


文字通り リオ に泣きついてしまった。






「うち、あん時やっと手に入れたDVDを一人でじっくり鑑賞してたっつーのに・・・」



リオ が恨めしそうな顔で見てくる。


私はその視線にジト〜とした視線を返しつつ口を開く。





「いいじゃないよ〜。私の買ったアイス食べたくせに!」




「あれは マイ が食えるような状態じゃなかったからだろ?

それにうちがエドに連絡してやったからそこまで酷くならないうちに誤解も解けたんだろーが」




もう言い返す言葉もございません・・・


私は無言で残りのムースポッキーを リオ に差し出した。


リオ はそれを一回頷いた後手に取りポリポリ食べ始める。




あ〜〜〜もぉ〜〜〜〜〜





「でも、エドと付き合い始めて マイ 表情豊かになったと思うぞ?」



ムースポッキーを咥えたまま言う リオ のその言葉に、私は一瞬キョトンとする。


でもすぐに二ヘラ〜と笑って答える。






「だって、本当に幸せだもーん。今日もね〜放課後一緒に買い物行くんだー」




私のその言葉に、 リオ は一つ溜息をついた後んっと顎で私の後ろを示しつつ口を開く。







「惚気は聞かん。後は本人同士で勝手にやってろ・・・」



リオ のその言葉と行動に私はグルッと音がするほどの勢いで後ろを振り返る。







「・・・・・エド」



「よぉ・・・・」















あなただけが私にこんな気持ちをくれる・・・・


愛してる


愛してる






初めはただあなたを見ていられるだけで良かったのにね


いろんな出来事を一緒に乗り越えてくるうちに・・・


いろんな思いを与え貰ううちに・・・


見ているだけじゃ我慢できなくなってきた。






隣に立って、手を繋いで・・・


笑いあって、時には泣いて・・・


これからも、ずっと同じ場所に立って同じものを見ていきたいね・・・






















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