今宵、一緒に夜明けを待ちましょう
「今年も何か色々な事があったね」
旅を終えて、アルは中央で勉強する事になって、私とエドはリゼンブールに住む事になって家まで錬成して・・・
「確かに色々あったな」
そう言いつつ肩にかかる重みに思わず笑みが浮かぶ。
二人で選んだソファー。
エドが座るその足の間にまるで後ろから包まれるようにして座る私。
そんな私達を大きめの毛布がくるりと巻いて、外の寒さなんて全く感じずにすんでいる。
「エドはさ、この1年どうだった?」
「どうって何がだ?」
「ん〜〜ほら、いい1年だったとか、何かやり残した事があったとか」
「やり残した事っつっても別に期限決められたようなもん元々ねーだろ?」
「だーかーらー、今年中にやろうと思ってて出来なかった事とか」
「・・・お前なんかあるのか?」
「私?ん〜〜〜そう言われると特にないねぇ・・・
そもそも『何が何でもエドと一緒にいる』って事以外決めてたことってなかったし」
今ではこうしてリゼンブールに住むようになったけれど、今年の始めと言えばまだ旅の途中だった。
まさかこうしてエドと一緒に住む事になるなんて考えもしなかった。
それを思えば・・・
「想像以上に幸せな年だったなぁ」
当たり前のようにお腹に回されている腕に手を重ねて笑みを浮べる。
二人っきりだからこその距離、触れ合い・・・
この1年、新たに知れたエドの一面は少なくない。
「で、エドは何かある?」
「つっても、俺が決めてた事も1つしかなかったからな」
「それ!それちゃんと達成出来た?」
エドが何を決めていたのか気になる。
また、その結果も・・・
答えを促すように振り向けば、お腹に回されていた手が背と膝裏に回されて体勢を横向きにされる。
ずり落ちそうになった毛布でまたすっぽりと今度は足まで綺麗に包まれた。
そして、先程よりも近くなったエドの唇が耳元へと寄せられ・・・
「お前の笑顔を守るって決めてたんだけどよ・・・」
出来てるか?とニッと笑みを浮べて言われて、一瞬ポカンとエドを見上げてしまった。
でも言葉の意味を理解した途端に目の前の胸にそっと身を寄せる。
「幸せ過ぎて死んじゃいそう・・・」
「馬鹿。勝手に死ぬなっての」
初日の出見るんだろ?と顎を捉えられて上向きにされ、そのまま瞳を覗き込んでエドが言う。
ニッコリと笑って答えれば、そのまま口付けが額に、鼻先に、頬にと降ってくる・・・
そして最後にゆっくりと唇に降りてきて、熱い吐息が漏れた。
「このまま、夜明けまで抱きしめててやるよ」
「じゃー私はエドが寝ないように見張っててあげる」
間近で交わす言葉にお互い笑みを零して、もう一度強く毛布をその身に巻きつけた・・・
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