愛し的、猫と過ごす日々


「みゃあ」




「・・・・・」





「みゃあ、みゃあ、みゃあ」




「・・・・・・・・・・・にゃ」





「みゃあ、みゃあ、みゃあ、みゃあ、みゃあ!!!」







エド猫に抱きついたまま離れないマイ猫。


嬉しそうに鳴き声をあげて、エド猫が途惑いがちに返事をすればさらに嬉しそうに鳴く。


それがエンドレスで、もうどれくらい続けられただろうか・・・・







「ふわぁ・・・可愛い・・・・幸せ」






マイは至福と言わんばかりの表情を浮べ携帯で写真を撮っている。


これでもかと撮りまくっている。


こうなったマイを止めることはほぼ不可能。


下手に関わると写真一枚一枚の良さを説明し始めるだろうから、うちは迷うことなくスルーした。



そして次に自然と視線を向けた先には、顔を真っ赤に染めたエドの姿。


うちは思わず呆れた様子で口を開く。






「・・・マイの猫耳姿見たからって、変な想像すんなよ?」




「っ、してねーーーよ!!!」






噛み付くような勢いで反論され逆に疑いたくなった。


しかし本当に今のエドにはそんな余裕も無いんだろう。


それどころか羞恥の限界に達したのか、2匹の元へと近付いていく。



どうやら引き離す事にしたらしい・・・



そんなエドの考えには当然気付く様子もなく、マイ猫はただ近づいて来るエドに嬉しそうに瞳を輝かせた。






「みゃあ!」




「っ・・・」






伸ばしたエドの手が止まる。


マイ猫は嬉しげな笑顔を浮かべたままエドを見上げていて・・・


確かにあの姿は可愛い。


その上エド猫に対するように、エドに対してもマイ猫は嬉しそうなのだ。


それに反比例するかのように、エド猫はどこか不機嫌そうにエドを見上げているが・・・







「・・・おーい、固まってるぞ」




「っ、だぁわーーってるよ!!!」






うちの言葉に、エドがまた勢い良く返す。


しかしそれで気を取り直したのか、再び二匹を引き離そうとマイ猫へと手を伸ばした。



もう少しで触れるという、その瞬間・・・






「にゃっ!」




「いでっ!!!」






・・・・・エド猫がエドを引っ掻いた。



もう少し詳しく言うと、エド猫はマイ猫をしっかりと抱き寄せて、マイ猫へと触れようとしたエドの手を思いっきり引っ掻いたのだ。


それがどういった意図の下で行なわれた行為なのかは考えなくとも分かる。


だからうちは呆れた様子で顔を顰めた。






(うーーーわぁーーーーこいつも独占良く強いでやんの)






さすがエドの髪で作られただけはある。


このエド猫もこう見えてどうやら相当独占欲が強いらしい。


さっきまでマイ猫に抱きつかれて途惑っていたように見えたが、実は内心喜んでいたのかもしれないと思うと若干イラッとした。



しかし、うちよりもイラついているのはもちろん引っ掻かれた張本人のエドで・・・






「いってーーな、何しやがる!!!」




「シャーーー!」




「っ、いい加減離れろ!!!」




「シャーーーーー!!!」






マイ猫をしっかりと抱きしめたままエドに対して威嚇するエド猫。


そんな状況ではエドも無理やり引き剥がし難いのか、声を荒げてみせるが効果は無い。


マイ猫にいたっては状況がよく分かっていないのか、エド猫に抱きしめられたまま動かないし・・・



思わず顔を顰めて溜め息を吐く。


だがそれでその場が収まるはずもなく、逆にエドとエド猫の間のやり取りは加熱していく。






「ねぇリオ、・・・・・どうしよ?」






さすがにこの状況には、幸せそうに写真を撮っていたマイも困ったような笑みを浮べていた。



正直言うと面倒くさい。



エドがエド猫に引っ掻かれようが、エド猫がエドに怒鳴られようが知ったこっちゃ無い。


うち的にはこんな奴らはほっといて、マイとケーキでも食いに行きたい気分だ。


しかし何度も言うが、マイ猫はエド猫に抱きしめられたままの状況・・・


さすがにこのまま放っておくのは躊躇われた。




しかたなくうちは溜息を一度吐くと、マイに下がってろと手を振って示した。


そのままエドとエド猫へと改めて視線を向け、スッと息を吸い込む。



そして・・・・・








「お座り!!!」




「「 っ!!! 」」








うちの怒声に、エドとエド猫の動きが止まった。


驚いたような視線を向けられ、うちは睨み返しながら言葉を続ける。







「聞こえなかったのか?

お・す・わ・り・!!!」




「リオさん、犬じゃないんだから・・・」







そんなマイのどこか呆れを含んだ言葉をサラッと無視して、うちはエドとエド猫へと近付く。








「っ、おいリオ」




「座れ、正座だ正座!!!

うるせぇーんだよ、お前ら」







何か言おうとしたエドの言葉を遮って、正座をするよう睨みつける。


おずおずとその場に正座するエドから今度はエド猫へと視線を移す。


瞬間ビクッとエド猫の肩が跳ねたが、それでも意地があるのかうちに向かって威嚇し始める。


うちはその様子に目を細めると、エド猫に素早くデコピンを喰らわせた。







「うるせぇ。

いつからそいつはお前のものになったんだ?

調子にのんな」








痛みに悶えるエド猫を無視してマイ猫を取上げた。


するとキョトンとした目がうちを見上げる。


抱きしめられていた事で少し乱れた髪を直すように頭を撫でてやれば、マイ猫は嬉しそうに目を細めた。






「みゃ〜〜〜」






・・・・・確かにこれは可愛い。



うちはチラッと時計を見て時間を確認すると、マイ猫を持ったままエド達に背を向けてドアへと向かう。


そんなうちの行動にマイが首を傾げた。








「リオ?」




「マイ、こいつ連れてケーキ食いに行くぞ。」




「えぇっ?!何で急に?」




「別に急じゃねぇ〜よ。

うちはあいつらが騒いでる時から思ってた。

こいつが間に挟まれてなきゃとっくにケーキ屋に着いてたぐれーだ。

つーわけでもう行くぞ」




「でっでもエド達は?」





「あ?あーーー、うちらが帰るまで座って反省してろ」




「はぁっ?!おい、リオ!」




「にゃっ!!にゃーにゃ!」






「うるせぇ!」









騒ぐ一人と一匹を一喝。


こうして東部で2匹の猫を飼う生活は揉めながらも過ぎていく・・・



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