06 棘だらけの言葉

リオと大佐の東部での小話
<芽吹け、東部編>でのある日のやり取り






「あぁ、私も久しぶりに君の顔が見たいよ」






ドアを開けてすぐに耳に入ってきた言葉。


顔を見ずとも、それがどんな表情で発せられているのかが分かるほどの機嫌の良さそうな声だ。






「そうだね。

では近いうちに店に顔を出すとしよう。

もちろん、君によく似合う花束を持ってね」






それから数度のやり取りを得て切られた電話。


後姿でも分かる。



奴は上機嫌だ。



だからうちは持って来た書類を少々手荒く奴の机の上に叩き付けた。







「これ、明日の朝までだから」







うちが部屋に来ていた事に気付いていなかったためか、それとも書類を叩き付けた音がやけに大きく部屋に響いたせいか・・・


とにか奴は驚いた表情でこちらを振り返った。


しかしうちはそんな奴の様子を無視してスッと目を細める。







「今日までが期限の書類は?」




「いや、まだ・・・・・後3分の1程」




「3分の1?

3分の1もまだ残ってるのか?」




「きょっ今日中には終わらせ」




「当たり前だ。

今日までが期限だって言ってるだろーが」




「・・・・・終えたら連絡を」




「つーか、まだ3分の1も残ってて随分と余裕だな。

これはあれか?

まだ仕事増やしても大丈夫って事か?」




「いっいやリオ!

さすがにこれ以上は」




「ならサボるな、真面目に仕事しろ。」







うちはそれだけ強く言い切ると、奴が何か言おうとするのを無視して部屋を出た。






(あーーー何でうちが奴のサボりにいちいち腹立てねーといけねーんだよ!)






周りを捲き込むな。


始めからちゃんと仕事しろ。




愚痴混じりにその夜マイへと電話をすれば、「ん〜〜〜何か大佐に妬けちゃうなぁ」なんてわけの分からない言葉を返された。



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