04 熱帯夜

リオとお兄さんのちょっとどうなの?的な小話
兄妹って言うか、もう兄弟的なノリ・・・(_ _|||)






椅子の背もたれに背を預け、グッと両手を上げて筋を伸ばす。


長時間同じ姿勢でいたせいか、だいぶ体が硬くなっていた。


次に首をグルグルと回して、視線はそのまま時計へ・・・


日付はとっくに変わっていた。




久しぶりに好みのサイト見つけたのはPCを立ち上げて1時間ほどしてから・・・


つい完結済みの長編小説を読みふけってしまったが、胸の中にあるのは疲労感ではなく何とも言えない満足感だ。






(あ〜〜でもさすがに喉が渇いたな・・・)






パソコンの電源を落として、何か飲もうと部屋を出る。


そしてリビングに灯る明かりに気付いたのはすぐだった。


しかし兄貴がいるのかと思った程度で、そのままうちはリビングを通って台所へと向かう事にする。






リビングに入って、まず目に付いたのは兄貴の姿。


兄貴の視線はテレビへと注がれていて、うちに気付いた様子は全くない。


それに関してはどうでもいいのだが、気になったのはテレビの音量がいつもより小さくされていたこと。


しかし今は深夜で他に音のない状態だ。


十分うちの立っている場所までその音は届いてきた。


うちはその音から内容を把握した上で、テレビの画面へも視線を移す。


だがすぐに当初の目的を思い出して、台所へと向かった。





冷蔵庫を開けて、目に付いたペットボトルへと手を伸ばす。


蓋を開けながら肩で冷蔵庫をバタンッと閉めて、とりあえず喉を潤すため口を付けた。


冷たいその感覚に乾きは一気に消え去り、満足感からふぅっと息を吐いた。



そこで・・・







「・・・・・何だよ?」






唖然とした様子でこちらを振り返っている兄貴と目が合った。


そんな目で見られる覚えはないと眉を寄せ掛けたが、すぐに持っているペットボトルへと目を落とす。


兄貴のだったかと思ったが、これは今日うちが学校帰りにマイと一緒に買ったものだ。


やはり兄貴にあんな目で見られる謂れはない。


すると兄貴は呆けた顔のまま口を開いた。







「お前、目、悪かったっけ?」




「両方とも2.0」







突然の質問に憮然としたまま答える。


要領の得られないやり取りは好きじゃない。


何なんださっきからとイラつき始めたうちに、兄貴はテレビを示した。







「ならよ、これについて何か反応しようぜ?

女として普通によ」






どこか呆れが混じったような兄貴の声。


テレビへと一度視線を向け、何だそういう事かとやっと納得がいく。


それと同時に、うちも呆れて兄貴へと返す。






「それを言うならな、妹がいるっつーのに未だに消さない方がおかしいだろ」




「いや、お前があまりにも無反応だからな。

もっとこう『きゃーお兄ちゃん!何見てるのよぉ!』ぐらい言えねーのか?」




「・・・・・きゃーお」




「ストップ!

やっぱいいわ・・・

こういうのって可愛らしい妹が言うからニヤけるんであって、お前が言ったら逆に鳥肌もんだな」




「悪かったな可愛げねー妹で。」






全く悪びれも無くそう言うと、うちはもう一度ペットボトルへと口を付ける。


その間も、ずっとテレビからは音がし続け映像が映し出されている。


その状況に兄貴は改めてうちへと視線を向けた。






「・・・つーかお前、真面目に無反応だな。

一応これ、世間一般的に言うアダルトビデオだぞ?」






そう、先ほどからテレビに映っているのは誰がどう見てもそういった類のものだ。


確かに普通だったら嫌悪感なり何なり感じるべきなのかもしれないが、如何せんうちはそういった事に対しては無頓着らしい・・・


兄貴の歳を考えると当然と言えば当然と言えるだろうし、逆に見てないと言われた方が色々な意味で心配になってくる。



それに・・・






「小学の頃から兄貴が18禁ゲームしてるの見てたら、今更AV見てもな〜」




「・・・そりゃーすみませんね」







兄貴が何かを諦めたように溜め息を吐いた。


そして再びテレビへと姿勢を戻す。


うち的にはこの状況でまだ見んのかよと呆れてしまう。


だがそんな兄貴の様子を数秒見つめ、うちもその横へと移動した。


そして同じようにテレビへと視線を向けていれば、兄貴が少し顔を引きつらせながら問いかけてくる。







「・・・・・・・・見んの?」




「・・・何か問題あるか?」




「いや世間一般的にありまくりじゃね?

・・・・まぁもう別にいいけどよ」







溜め息と共に項垂れる兄貴。


しかし視線はやはりテレビへと戻される。


兄妹揃って視線を向けたまま、ポツリポツリと会話は続けられる。







「なぁ、兄貴ってこういうの見て抜けんの?」




「あーーー物による・・・」




「ふ〜〜ん・・・・・

つーかさ、男ってこういう事されてマジで嬉しいわけ?」





「あ?あーーーまぁ視覚的にくるよな。

上目遣いとか、この位置的にヤバくね?」





「あぁ、それは分かる。

・・・・・あーーーこの顔いいわ」




「あーこの顔はヤバイな・・・・・

っつーかやっぱ俺らがヤバくねーか?」




「何を今更」










それはある熱い熱い夜の出来事・・・




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