03 協力してください
マイとリオとお兄さんの日常的な小話
えっ?管理人の実話じゃないかって?
・・・・・まさかそんなそんな(;゚∇゚)
「なぁ、兄貴」
「何だ?」
「明後日車出してくれよ」
妹のその言葉にカレンダーへと目を向ける。
明後日・・・5日か?
GWの最終日。
別にこれといった用事もないので車で出かけるのは問題ない。
それ自体には問題ないのだが、この妹が自分に頼み事をするのは珍しい。
育った環境のせいか、自立心はそれなりに強い方だろう。
歳の離れた妹だが甘えられた記憶なんてほぼないし、料理以外はある程度こなしてしまう妹に頼られた記憶もあまりない。
だからこれは純粋に疑問だ。
「別に車出すのはいいけどよ、どこに行くんだ?」
「駅の裏通りにあるケーキ屋さんです」
答えをくれたのは妹の友人であるマイちゃん。
GW中はうちに泊まる事になっていて、先ほどもマイちゃん特製の夕飯を食べたばかりだ。
・・・・・って、ケーキ屋?
「何でまたケーキ屋なんだ?」
別に妹の誕生日ではない。
俺のものでもないし、マイちゃんのものでもなかったはずだ。
特別な日でもなかったはずだが、強いて言えばこどもの日って事か?
しかしこの妹がそういったイベント事にいちいち反応するわけもなく、マイちゃんに誘われて作ったらしいバレンタインチョコを貰った時には真面目に感動した。
心底気持ち悪がられたが、本気で感動したのだからしかたがない。
でだ、そんな妹がなぜわざわざ俺に車を出すよう頼んでまでケーキ屋に行きたがるんだ?
「ケーキ買うために行くに決まってんだろ?」
呆れたような妹の声。
辛辣なその物言いに、一瞬心折れそうになった。
しかしそんな空気をフォローするように、マイちゃんが苦笑交じりに言葉を補う。
「誕生日だからケーキを買いに・・・
GW中だから人多くて電車だと潰れちゃいそうで」
「誕生日?誰の?」
まさかの一番に切り捨てたはずの誕生日ケーキが答えだったらしい。
いやしかし、なら一体だれの誕生日なんだ?
首を傾げる俺に、妹は心底驚いた様子で口を開く。
「はぁ?いっぱいいるだろ?」
「は?!いっぱい?!」
妹の言葉に今度は俺が驚く。
確かに人当たりのいい妹には、知り合いや友人は多いだろう。
しかし本人が自覚しているかどうかは別だが、その付き合いは広く浅くだ。
家に連れてくる友人だってマイちゃんぐらいで、誰でも彼でも懐に入れてるわけではない。
当日祝いの言葉ぐらいは言うだろうが、わざわざケーキを買って祝うまではしないだろうし・・・
そもそもいっぱいって何だ、いっぱいって
ますます疑問が膨らむ俺に、妹は例えば・・・と口を開く。
「復活の風紀委員長とか」
「テニプリのジローちゃん」
「ハンターハンターのゴンもだろ?」
「あと銀魂の土方さん!」
次々と上がる名は、全てマンガの登場人物だ。
なるほど、確か先月も学校帰りにケーキを買って来て何やらマイちゃんと騒いでいた。
たぶんあの日もこの2人が好きなキャラの誕生日だったんだろう・・・
我が妹とその友人らしい、と言えばいいのかどうなのか。
とりあえず俺は大きな溜息を吐いた。
しかしこれだけは言っておかねばと顔を上げる。
「ケーキもう1個追加な」
「は?何でだよ?」
「ワンピのルフィ忘れてたぞ」
「「 あぁ! 」」
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