休日デート





「やー、見事なショッピング日和ですなぁ!ルイちゃん!!」

「……どうでもいいけど、ちゃん付けやめれ。それと…………」




今日は土曜日。
この前、剣道部を完全に掌握した俺は顧問のノブナガにかわった。
そして、今日はちょうどむさ苦しい武道館の大掃除日に設定して、他の剣道部員に大掃除をやらせている。


そんで今、俺はネオンと一緒にショッピングに行こうとしているのだが………。





「それと、そういうことは変態がいなくなってから言おうな?」

「?!!………って、うわぁあああぁあああ!!!
ちょ、どうしようルイ?!アイツめっちゃ手ぇ振ってきてるよ??!」

「………(気づいてなかったのか)
んー……あれだ。いいか?ネオン?
今日は絶対、俺から離れるなよ?離れたら終わるぞ?」

「イエッサー!!……あの、ルイさん。念のため聞くけど………ソレなに?」


「え?………只の日本刀だけど?」

「ダメだからぁあああ!!ちょっ……ルイ、銃刀法違反で捕まっちゃうよ??!」

「………ネオン。大丈夫だよ。犯罪はバレなきゃ犯罪じゃないから」

「銃刀法違反どころか殺る気満々??!」



























「……あそこでネオンが止めなかったら、あのまま殺してたのに………」

「まだ根にもってたの?!というか、ルイ殺人はダメだよ!!」



あの後、俺はせっかくのネオンとのお出かけを邪魔してくれやがったヒソカに、それ相応の報復をしようと思ったのだが……。

…ネオンに涙目で必死に訴えられたら、流石に無視できん。


まあ、今度ネオンがいないところで、こっそり始末すればいいし。
できるだけネオンに血なまぐさい所を見られたくないしな。

良かったな、ヒソカ。
ネオンのおかげで今回は、両足が凍傷になるだけで済んで。




「…そういえば、なんでアイツ、あたしたちを追っかけてこなかったんだろうね?」

「…っ……………さ、さあな」

「うーん。まあ、いっか!
じゃあ、ゲーセン行こうよ!ゲーセン!!」

「はいはい。
まずは、服を買うんだろ?
ゲーセンは買うべきもの、見たいところを回ってから」



□■□■□■□





「いいじゃん!たまには!!」

「嫌だ」

「絶対、かわいいよ!!」

「ネオンのほうが可愛い」

「っなんでダメなの!!」

「……動きにくいし、引っかかりやすいし、変態が喜ぶから」

「せっかくの休日デートなんだよ!!」

「……別にいいじゃんか。
それでなくても、どうせ毎日履いてるんだし」

「だってあれ制服じゃんか!もー!!たまには私服でスカート履いてよ!!あたしだって、ルイのコーディネートしたいんだから!!」



「…あ、あのお客様。店内でそのような大声を出されては他のお客様のご迷惑になりますので…」

「……ほら、ネオン。
店員さんもそう言ってるし、この話題は終わりな?」

「っ……じゃあ、どう思いますか!?ルイ…………この子、いっつも男物の服ばっかり着てるんですよ!勿体無いと思いません?!」




悔し紛れか何なのかは、分からないがいきなり俺たちの口喧嘩(?)を止めに来た店員さんに問いかけたネオン。
その口調からもわかるように、本人は凄く熱くなっている。

……別に俺が男物を着ていようが、どうでもいいと思うんだよな。



「…ネオン。
そんな無理なことを言うんじゃない。
店員さんの迷惑になるだろ?ほら、謝りな。
………………………………?どうしましたか?」



「っ………いえ!!あ、あの、私も……勿体無いと思います…」

「え……?」

「っほらぁああ!皆、そういうんだよ!絶対!」





ネオンをあやまらせようと、店員さんの方に向くと、顔が……何か。
…いや、別に顔は変じゃないんだけど。
俺の顔を、何かじっと見つめて、ポーッとしていた。

そして、焦りながらも返ってきた言葉は“勿体無い”。





「…何が勿体無いっていうんだ………」


全くもって分からん。
ネオンだけなら、まだしも…。
まともそうに見える、この店員さんまでもが……。


あ、もしかして、ネオンが俺に女物の服を着せるために事前に説得したのか…?
………でも、いくら練習したって、あんな表情……作れんのかなぁ?





「ねぇ!!良いでしょ!!一生のお願い!!」

「………ソレ、23回目なんだけど。まあ、いいよ」

「本当??!やったー!ありがとうルイ!愛してるよぉおおお!!」

「…これ以上、こうしてたら他の人の迷惑になるからな。
でも、今回っきりだぞ?いいな?」

「はーい!じゃあ、店員Aさん!早速選びましょうか!!」

「はいっ!!お任せ下さいっ!!」

「勝手にAさんとか位置づけするんじゃないっ!!!…というか、どんだけ選ぶつもりなんだよ!!」





□■□■□■□




「つ………つかれた…………」

「珍しいね。
ルイってば、剣道部のきっつーーーい稽古なんかじゃ、息も上がらないのにね」

「……それとこれとは疲れ方が違うんだよ。
っつか、オイ。
勝手に写メるな。
というか、写メってどうするつもりなんだ!」

「え?紅桜先生に送ってあげようかなぁ、って。あ、そうそう。
今回ルイに買った服のお金、紅桜先生に『マスターに似合うお洋服でも見繕ってくださいませんか?』って、貰ったんだよねー」

「……お金っつうか、カードだろ。あぁ……道理でいつもよりシツコイはずだよな」

「えへへへぇ」

「笑うんじゃないっ!」




むにーっ。
と軽く頬をつまんだだけで、大げさに痛がるふりをするネオン。
……他の奴がやると苛立たしい仕草だが、ネオンがやると可愛らしく見える。
これだから、ネオンは変態に好かれてしまうんだ!(←親馬鹿)


肩を落としてゆっくりと歩く俺に対象して、るんるんと今にもスキップをしそうな程ご機嫌のネオン。
それもそうだろうよ。
今まで、さんざん俺が突っ張ねてきた女物の洋服で、俺を着せ替え人形にしたんだから……。

あ、買った洋服は多過ぎるから。ということで宅配で家まで届けた。











「あ、ルイ。あそこ、新しく出来たスイパ〇!!」

「?スイ〇ラ?」



聞き慣れない単語に首をかしげた俺。
それに目ざとく気づいたネオンが、熱っぽく俺に説明する。




「あ、そっか。
ルイ、休みの日は剣道部の練習があったから、しらないよね。
スイー〇パラダイスだよ!
スイーツ食べ放題のお店で超美味しいんだよ!!
勿論、ちゃんとルイ好みの甘さ控えめのお菓子もいっぱいあるし!
ね!行こうよ!!」

「…………別にいいけどさ。
ネオン、ほどほどにしろよ?
この前、ミ〇ド行った時だって、食べ過ぎて晩ご飯食べられなかったんだろ?」

「ダイジョーブ!
今日は、これをおやつ兼晩ご飯にする予定だから!!」

「……栄養バランスを考えようか、ネオン」



といっても、俺もネオンが幸せそうに食べる顔が好きだから止めないけど。



 


そして、この後お菓子を食べ過ぎたネオンは、すっかり呆れ果てたルイにおぶられ家まで帰った。




 



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