KU☆RO☆U☆!!




超テンション高い手紙で呼び出された。

文面はこう。

[ルイ様へ

ごきげんよう、ルイさん。ややこしい挨拶は 省かせていただきますわ。
実は わたくしの義理の姉が非常に懐かしく可愛らしい姿で ゾルディック家の屋敷にいらっしゃいますの。
そこで、ルイさんにも ぜひ来ていただいて、撮影会をしたいのですわ!
ルイさんとお姉様、そして我が家の面々での写真! 素晴らしいこと間違いなしですわぁぁああああ!!(以下省略)]

と、こんな感じに十五ページくらい。

まあ、身の危険を覚えるし 断ってもよかったんだけど。

[P.S.ちなみに来てくださらなかった場合、遅刻として うちの方々が捕えに参ります]

追伸怖すぎるよ。
ゾルディックの追っ手とか、世界有数の効果がある脅しじゃないのか。

そういうわけで、しかたなくゾルディック家へ赴くことにした。

…まあ、キキョウさんの義理の姉にも 興味ない訳じゃないしな。



□■□■□■□




ゾルディック家に珍しく客が来た。

あたしは この家とは結構長い付き合いだが、初めて見る奴だ。

黒…いや青か? 髪も勿論、綺麗な容姿をした少女だった。
だが、年齢にみあわず オーラは洗練されており、かなりの実力であることがわかる。

「はじめまして」
「は…はじめまして」

見上げて挨拶をすると軽くひかれた。
む、この念をかけられてから 人と会うたび見上げてばかりだから首が痛い。

軽く首をまわしただけだったのだが、それに気づいたようで 美少女は あたしを抱えあげてくれた。

「むむ、ありがとう。助かるよ、見上げてばかりなもんで首が痛くてな」

礼をいうと、美少女は驚く。

「なかなか口達者な子どもですね。今何歳ですか?」
「肉体年齢か? それなら、多分 十歳くらいだが」

肉体年齢という言葉に わからないという顔をする。
むむむ、さては こいつがルイだな?
ならば 説明せずとも、後にキキョウに会ったときわかるだろう。



□■□■□■□




「ってあたしは子ども役か!!」

事実 身体は子ども以外のなにものでもないけれど。

叫んだツバキは、子どもサイズの着物を着せられて イルミとルイの間に鎮座させられていた。

「まさか、この子どもがキキョウさんの義理の姉だったなんて…」
「あたしは今それよりも、この状況にツッコミたい」

いつものとおりキキョウのスーパーお着替えタイムにより、着替えさせられた三人。
それだけならいつも通りだったのだが。

「まあまあまあまあ! 素敵ですわあ!! イルミとルイさんが結婚したあかつきには、是非ツバキお姉様のような子どもをと思っていましたの!!!」
「おいおいルイよ、お前は親公認のイル坊の婚約者だったのか?」
「違う!!」
「俺はいいけどね。ツバキみたいな赤ん坊っていうのはイマイチだけど」

ルイとツバキが戦々恐々としているなか、イルミとキキョウだけがご機嫌だ。

「あ、あたしは これ以上若い二人を邪魔することには耐えられん…ひとの恋路を邪魔するやつは、キキョウの運転する車にひかれて死んでしまえというし」
「それをいうなら馬に蹴られて、だ。というか、イルミとは知り合いで婚約者じゃ」
「二ヶ月後、結婚するからツバキも来ていいよ」
「イルミ、嘘をつくな! 二ヶ月後ってとこが妙にリアルだから!!」
「恥ずかしい、あたしは恥ずかしい!! 恋仲たちの甘い空間にいたくない!」
「これのどこが甘い!?」

最初から最後まで こんな感じに終わったある日。
その二週間後、まるで夫婦とその子どものように写ったルイとツバキ、イルミはじめゾルディック家の面々の写真が 山のように送られてきたとさ。

おしまい

 




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