もしもこの涙さえもがその一部の成分が足りないが故の病から来るものなのだとしたら、それはもう涙とは呼べない。病に無理矢理に流されるそれは、こんなにも透き通っていてはいけない。
でもそれなら、それじゃあ、この頬を伝う液は何だって言うんだ。

目を開けていれば自分の意思とは関係無しに温い滴が零れ出す。もう、何に対して流しているのかさえ分からない。ただ、矛盾している事に心は辛い苦しいと叫び続けている。
あまえるな。自分で自分を叱咤しても意味など無いに等しいが、それでもそうせずには居られなかった。どうして何もせずただそこに存在するだけの自分が、さも被害者のようにして涙を流すのだ。その涙はどこから流れる。その水源を見付けて壊してやりたいと、そうして自分に叱咤された自分は水源を捜して見つけ出して壊そうとする。だけど見付からないのだろう。見付からないから、泣いているのだろう。そうして二人の自分は結局肩を寄せ合って泣くのだ。なんとも可笑しな話、遠くで誰かが嘲笑った声は、二人には聞こえない。

引き攣る胸を押さえて、呼吸の下手くそになった喉を塞ぐように唇を噛み締める。遠くで赤ん坊の泣き喚く声が聞こえた。(そうして声を上げて泣く事が出来たら、自分も幾分か楽だったのだろうか、嗚呼。)
明日を覚悟出来るか











 
2010/12/22

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