男ですから


今日は資料室にある書類をユッキーと整理していた。
「綺麗になったなあ。」
ここに最初に来たときは文字通り足の踏み場が無くて、ユッキーと無言で入り口に立ち尽くしていたが、半日もすれば見違えるように綺麗になった(少なくとも足の踏み場はある)。
「本当だね。」
ユッキーも書類を持ったまま私の意見に同意した。
そもそもここまで放置している方もしている方だ。
脳裏に浮かぶピエロに深いため息が出る。
とそこにユッキーが高さ30センチくらいの先程の書類を持ったまま、私の目の前にある棚のユッキーの視線と同じくらいの高さの列に入れようとしていた。
「だ、大丈夫?」
いくらユッキーが大きくなったと言えど、昔からすぐ体調を崩し、熱をよく出すほど体が弱いのだ。
兄の方は心配するだけ時間のムダというような人間なので尚更だろう。
もちろん、わかっているのについつい心配してしまう。
ユッキーは始め何も言わず、書類だけ棚に直す。


「大丈夫だよ。麗奈。
僕、男ですから。」


そう言ってはにかんだ笑顔が心に引っかかった。



男ですから。
(あっ、じゃあ、この書類も!)
(抜け駆けは駄目だよ、麗奈)





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