空飛ぶパラソル


「いつまで待たせる気かな・・・」
ソファーに座った麗奈が退屈そうに声を漏らす。
広い部屋の中で一人っきり。麗奈はふぅとため息をついた。
見渡せば絢爛豪華なモノばかり。しかも文化圏の違う調度品が並びなからも調和がとれている。
(なんてこの部屋に何回もいるから見慣れたと言った方が正解かな・・・)
少し眠たく、目をこすりながらそう思う。
(フェレス卿はいつまで待たせる気よ・・・)
憂鬱そうに主が不在の部屋を麗奈は何もすることなく眺めた。
(・・・あれ?)
ふと、麗奈の意識が一点に集中する。
コートかけにかけられたのは彼のふざけた傘だった。
(この前の合宿のとき、これで飛んでたわよね)
静かな部屋の中で麗奈は傘とにらめっこをしていた。
やがて考えがまとまとったのか立ち上がると傘の方へ歩き出す。
そして傘を持つと、バッと開いた。
色とりどりだった視界が急に白に覆われる。
「・・・飛べるわよね。」
いつもメフィストがするように傘を頭上に掲げたところで背後から声がした。
「どうかされましたか?」
振り替えれかえれば、メフィストがニヤニヤと笑っている。麗奈の背中に悪寒が走る。
「もしよろしければ、飛んでみますか?」



空飛ぶパラソル


(いっそそのまま愛の逃避行でもいかがですか?)
(!?)


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