彼女に逢えた歓喜の歌


「えっ!? 俺なんか悪いことしたか?」
麗奈の涙を見て慌てる燐。
「あっ、ううん。ちょっと懐かしいというか思い出してくれたのがうれしくて。」
目尻に溜まった涙をすくうと麗奈は何でもないように笑った。
「ごめん」
そう謝って、燐は近づく。
それがあまりに自然な動作で、そうすることが正しい気がして、麗奈は不意に抱きしめられたことに時がとまる気がした。 屋上に2つ重なった影が落ちる。
の心臓の音が少し早くなる。
すぐ近くにある燐の横顔は夕日に半分照らされ、少し赤い。微かにあたる燐の肌が心地よい。飛び込んだ胸板は以外に大きく、なんだか安心する。
「何にも気づけなくてごめん」
再び謝られる麗奈。
「過去のこと雪男にさっき、初めて聞いた。まさかそんなに大変だったとは知らなくて。」
ぎゅっと抱く力が強くなる。苦しいとかそんな感情よりも自分のことを大切に思ってくれる燐に麗奈は喜びを覚えた。
燐が耳元でささやく。
「昔から一人で何でもこなすから、ずっとわからなかった。何もないから一人で全部こなさないといけなかったんだよな。」
一言一言が麗奈の胸にさ


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