「なに」 「わり、家貸して?」 悪びれもなく家に上がり込む恋人の背を見て、私は今日の晩御飯をどうしようかと呑気なことを考えていた。 「いきなりどうしたの」 「聞いてくれよー。家のパソコン潰れて使いモンにならねぇんだわ。レポートあるし、ちょっと貸して」 「ああ……そういうことね、いいよ」 ありがとな、とガシガシ頭を掻きながらパソコンの電源を入れる銀時に何も言わず、お茶の用意をしてそっとデスクに置いた。 持参してきたUSBメモリーとテキストと資料を広げ唸りつつ銀時がカタカタとキーボードを打つ音を聞きながら、邪魔をしないようにぼーっと携帯でWEBサイトを開く。特にやることもないけど、テレビを付けるのも憚られたりして、うん、正直暇なんだけど。大体この家の主は私なのにどうしてこんなに気を使わないといけないの?いやでもレポートって大変だし……。 「…………名前」 「……ん」 頬の中心を集中的に押され、目を開けた。あ、眠ってた?ベッドに腕と頭を預け、ぷにぷにと未だに私の頬を弄ぶ銀時の指を掴んだ。 「名前」 「ぎ、んっ、んん……!」 呼吸を奪われ押さえつけられるように抱きしめられて藻掻く。苦しいんだけど、嬉しいこの矛盾。舌を強く吸われビクッとなる私に銀時は少しだけ私を抱く力を緩めた瞬間、服の中に手を侵入させた。拙い指で這うように肌に触れる。それでもキスは終わらなくて、銀時の腕を掴む。 「や、め……ふつ、う、寝込み、襲う?」 「いやなんか、お前の寝顔見たらムラムラした」 「はぁ?!」 ぷつん、と胸が解放される感覚。 「あっ、」 ホックを外され、着ていたシャツのボタン外し、あっという間に脱がされたと思えば、剥ぎ取られた下着を銀時は投げ捨てた。 「ば、馬鹿っ」 「いや、もう止めらんねーからね?銀さん無理だから、ここで襲わねェと男が廃るっていうかよ」 「ふざけ、んなっ!」 「あのなあ、仮にも女なんだからお前、もっと上品に言葉を使うとかしろよ」 「誰の所為よ、馬鹿」 再び近付いてくる顔をペシッと止める。不服そうな表情で、なんだよと言う銀時に溜め息を吐いた。 「ねぇ、レポートは?」 ニヤリと笑って、銀時は答えた。“んなもん終わらせたっつーの” そして、唇を合わせた (……あれ、保存したデータがねぇ) (ちゃんと保存した?) (したようなしてないような) (……) >title hmr様 110402 ―――― だめだこりゃ/^o^\ |