2011 | ナノ





いつか、いつかね?先生が、あたしを見てくれる日がきたら、あたしは嬉しくて嬉しくて死んじゃいそう!

だけど、そんなことは叶わない夢だってわかってる。だけど、いつか、あたしの気持ちを伝えたい。


自分が傷付いても、あたしの想いを知ってもらいたいの。







「ばーか」




つい口に出た悪態は直ぐ様、返事が返ってきてなにもねェよと言った。……が、弛んだ口元を見て怪しんだ彼女は「なに?」と語尾を強くして追い詰める。




「此処に学生時代の名前ちゃんの日記があるなあ、と思っ「ああぁあぁああああぁぁぁあああぁ」」




バッと奪われた日記帳を名前は目を通す。段々と顔が赤く染まり、乱暴に閉じられた日記帳はゴミ袋にダイブした。




「可愛いじゃねェか、お前にもそういう時代があったってことなんだからよ」




やれやれと、ゴミ袋からそれを取り出し軽く叩いた。




「ば、馬鹿!“先生”の馬鹿!」

「いやぁ嬉しいね、此処まで俺を思ってくれてたとは」

「もー最悪!捨てたと思ったのに、まさか紛れてたなんて」




引越しの作業で現れた妻の日記帳は全て先生…………即ち俺への愛に包まれていた。まあ、本人にとっちゃ恥ずかしい歴史だ。




「ほんっと黒歴史だわ」

「あのなぁ、俺を前にしてそれ言うか?」

「見るのが悪い。早くそれ捨てて!」

「誰が捨てるかよ、こんないいモン俺の家宝にするわ」

「この……くるくる天パァァァァ!」




襲いかかってきた名前にわざと後ろに倒れ、結果的に名前と一緒に倒れる。眼鏡がずれるのを気にせず腰に腕を回し、逃げられないようにした。




「死なねーの?」

「え、なに、が」

「俺がお前を見る日が来たら嬉しくて死んでじゃいそうなんだろ?」

「……だ、だって、まさか先生も同じ気持ちだなんて知らなかったし」

「んじゃ、その“先生”ももう止めろよ。今日から俺はお前の旦那なわけよ?」

「ん……」




赤く染まった顔が少しずつ引いてきた名前が小さく頷くと、頭を撫でて口づけを一つ。






仕方無いな、と微笑って






title/『 』様




110609




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